川口市の高齢者施設対象のCOVID-19に関する研修実施報告:全国自治体との比較
目的 高齢者施設等(以下,施設という)や医療機関の感染対策の知見を含めた研修を実施した川口市と他の自治体の実施した施設対象のCOVID-19に関する研修内容等を比較し,文献等に基づき考察することにより,保健所の行政医師等が感染対策で得た知見を説明することの重要性を明らかにし,自治体の支援のあり方を検討することを目的とした。方法 ホームページに掲載されている川口市および他の地方自治体による施設対象のCOVID-19の感染拡大防止策に関する研修内容等を比較した。活動内容 川口市では,保健所の行政医師が講師となり,施設を対象に,オンデマンドにより,感染対策の助言で得た知見に基づく感染対策や職員および...
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Published in | 日本公衆衛生雑誌 Vol. 70; no. 10; pp. 718 - 726 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本公衆衛生学会
15.10.2023
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Subjects | |
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ISSN | 0546-1766 2187-8986 |
DOI | 10.11236/jph.22-121 |
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Summary: | 目的 高齢者施設等(以下,施設という)や医療機関の感染対策の知見を含めた研修を実施した川口市と他の自治体の実施した施設対象のCOVID-19に関する研修内容等を比較し,文献等に基づき考察することにより,保健所の行政医師等が感染対策で得た知見を説明することの重要性を明らかにし,自治体の支援のあり方を検討することを目的とした。方法 ホームページに掲載されている川口市および他の地方自治体による施設対象のCOVID-19の感染拡大防止策に関する研修内容等を比較した。活動内容 川口市では,保健所の行政医師が講師となり,施設を対象に,オンデマンドにより,感染対策の助言で得た知見に基づく感染対策や職員および利用者の健康管理と感染の早期探知などのCOVID-19の感染拡大防止策について説明した。2022年3月から9月の期間に,68自治体が,施設の研修についてホームページに掲載していた。研修講師は,感染管理認定看護師が29自治体(42.6%),医療機関医師が22自治体(32.4%),感染症専門医が8自治体(11.8%)であり,35自治体(51.5%)は自治体職員,保健所職員,行政医師のいずれかが講師であった。研修資料掲載のある41自治体の説明内容については,手指衛生が39自治体(95.1%),PPEの着用に関する感染予防が38自治体(92.7%),職員の健康管理が37自治体(90.2%)であったが,利用者の健康管理は24自治体(58.5%),換気は21自治体(51.2%)だった。川口市を含む一部の自治体では,職員や利用者の感染の早期探知の具体的な手法について説明していた。結論 自治体が施設対象のCOVID-19等の感染対策の研修を行うにあたり,職員と利用者の健康管理やエビデンスのある感染の早期探知の方法を説明する必要があること,施設等との関わりで得た知見を活用し,地域の感染対策の課題を踏まえて,保健所の行政医師等が説明することが重要であると示唆された。 |
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ISSN: | 0546-1766 2187-8986 |
DOI: | 10.11236/jph.22-121 |