肝動注化学療法により減黄を示したにもかかわらず腫瘍の増大を呈した肝内胆管癌の1剖検例
肝左葉の切除不能肝内胆管癌症例に対し,肝動注化学療法(HAIC)を施行したところ,治療前にみられた黄疸の著明な改善を認めたが,腫瘍は増大していた1剖検例を経験した.症例は60歳男性.肝左葉の切除不能肝内胆管癌に対し,胃十二指腸動脈をcoilingし,固有肝動脈レベルにリザーバーを留置し,5-FU,CDDPを用いHAICを施行した.リザーバー留置時に,固有肝動脈にはencasementが認められた.HAIC開始後,右肝内胆管拡張の改善がみられ,減黄が認められたが腫瘍は肝左葉全体に増大していた.このときのリザーバー造影では,固有肝動脈は造影されなかった.敗血症を併発し,第65病日に死亡した.剖検で...
Saved in:
Published in | 胆道 Vol. 18; no. 1; pp. 74 - 80 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本胆道学会
2004
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-0077 1883-6879 |
DOI | 10.11210/tando1987.18.1_74 |
Cover
Summary: | 肝左葉の切除不能肝内胆管癌症例に対し,肝動注化学療法(HAIC)を施行したところ,治療前にみられた黄疸の著明な改善を認めたが,腫瘍は増大していた1剖検例を経験した.症例は60歳男性.肝左葉の切除不能肝内胆管癌に対し,胃十二指腸動脈をcoilingし,固有肝動脈レベルにリザーバーを留置し,5-FU,CDDPを用いHAICを施行した.リザーバー留置時に,固有肝動脈にはencasementが認められた.HAIC開始後,右肝内胆管拡張の改善がみられ,減黄が認められたが腫瘍は肝左葉全体に増大していた.このときのリザーバー造影では,固有肝動脈は造影されなかった.敗血症を併発し,第65病日に死亡した.剖検では肝左葉を占める腫瘤形成型肝内胆管癌で,組織学的には中~低分化管状腺癌であった.肝右葉に癌の浸潤はなく,固有肝動脈の腫瘍塞栓および左門脈の腫瘍塞栓を認めた. |
---|---|
ISSN: | 0914-0077 1883-6879 |
DOI: | 10.11210/tando1987.18.1_74 |