リフレクションに基づく個別支援実践能力育成の普及に向けたプリセプター養成に係る基礎調査
(緒言) 筆者らは,新任期保健師自らが保健師活動の実践体験を意味づけ成長に変えられるリフレクション力を身に着けることが重要であることを見出し1),リフレクションに基づく個別支援能力向上プログラム(以下プログラム)を開発・実施してきた.プログラム終了時点において一定の効果を確認2)しているが,プログラム終了後のフォローアップ体制が未構築であり効果の継続は確認できていない.また,プリセプターの役割を担う時期に達しているプログラム参加者が新人保健師に対してリフレクションに基づく個別支援能力を育成することができれば,新人保健師とプリセプター保健師とがフィードバックし合うことにより双方にとって有効と考え...
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Published in | The Bulletin of Chiba Prefectural University of Health Sciences Vol. 14; no. 1; p. 1_95 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
千葉県立保健医療大学
31.03.2023
Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1884-9326 2433-5533 |
DOI | 10.24624/cpu.14.1_1_95 |
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Summary: | (緒言) 筆者らは,新任期保健師自らが保健師活動の実践体験を意味づけ成長に変えられるリフレクション力を身に着けることが重要であることを見出し1),リフレクションに基づく個別支援能力向上プログラム(以下プログラム)を開発・実施してきた.プログラム終了時点において一定の効果を確認2)しているが,プログラム終了後のフォローアップ体制が未構築であり効果の継続は確認できていない.また,プリセプターの役割を担う時期に達しているプログラム参加者が新人保健師に対してリフレクションに基づく個別支援能力を育成することができれば,新人保健師とプリセプター保健師とがフィードバックし合うことにより双方にとって有効と考えた.そこで本研究は,新任期にプログラムに参加した保健師のリフレクションに基づく個別支援の現状を明らかにし,プリセプターとしての役割発揮を視野に入れたフォローアップに関するニーズを検討することを目的とした.(研究方法) 2014年~2019年までに実施したプログラム参加者で全回出席した31人のうち,現在も自治体常勤保健師であり,研究協力に同意の得られた者を対象とした.データ収集は個別インタビューにより行い,リフレクティブな個別支援能力評価指標を用いて自己評価の理由やプログラム参加の影響を聴取した.「リフレクションに基づく個別支援の現状」と「プログラム参加による影響」を質的帰納的に分析し,「個別支援の現状」については,その性質から「できている」と「不十分」に分けて整理した.(結果) 研究参加者は6名であり,所属は市町村2名,政令市3名,都道府県1名であった.保健師経験年数は3年1名,5年3名,6年と7年各1名であり,プログラム参加後の経過年数は,2年2名,3年1名,4年2名,6年1名であった. リフレクションに基づく個別支援の現状は,180コードから45サブカテゴリ,19カテゴリを生成した.【不安や困り感は日常的に職場で話すことができている】など「支援の中で生じる感情や考えの表出・客観視」,「必要な知識の補充」,「対象の捉え方や支援の方向性の再考」は研究参加者全員ができているという現状であった.「対象者の状況や支援に関する記述と説明」「支援の評価」はできている部分がありつつ,自分だけでは不十分といった現状があった.「自己の感情の影響や思い込みの認識」および「保健師としての信念や価値観の獲得」はできている人とそうではない人にわかれる現状があった. プログラムの影響は,59コードから14サブカテゴリ,7カテゴリを生成した.【思考や表現の整理の仕方】【自分の思いを躊躇せずに話すことの大事さ】【自己の考え方の広がり】などの影響が確認された.(考察) リフレクションスキルのうち「自己への気づき」はプログラム参加後2~6年経過した時点において定着が確認され,プログラム参加者は自分の考えや感情を表出する大事さを理解しているため,リフレクションに基づく個別支援能力を育成するプリセプターとしての役割発揮が期待できると示唆された.また,「描写」「評価」は上司や先輩保健師から日常業務において継続的にフォローアップを得ることが,「批判的吟味」はリフレクションにおける意味の説明や自分自身の価値観を客観視できる体験を含めたOff-JTによるフォローアップが必要と考えられた.(倫理規定) 本研究は,千葉県立保健医療大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号2021-12).(利益相反) 本研究における開示すべきCOI 関係にある企業等はない. |
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ISSN: | 1884-9326 2433-5533 |
DOI: | 10.24624/cpu.14.1_1_95 |