昭和大学横浜市北部病院外科手技スキルアップセミナー(Northern Yokohama Skill-up Seminar; NYSS)開催の経験
創縫合手技は外科必須修得項目であるが,医学生や臨床研修医がon the job training(OJT現任訓練,以下OJT)で修練することは人権意識の高まりや医療安全上の見地から困難になりつつある.このため,学習者は人工素材を用いた医学教育用縫合シミュレータで学習する機会が多いが,これらはヒトの皮膚に近似するものではあるものの,その進展性や構造はまだ十分とはいえない.このため,よりヒトに組織構造が近いブタ臓器を用いた外科手技シミュレーション講習会を企画・運営する機会を得たので報告する.2011年度から毎年1回,昭和大学横浜市北部病院医療教育支援室および消化器センターなど外科系医師の協力の下で...
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| Published in | 昭和学士会雑誌 Vol. 78; no. 6; pp. 649 - 655 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
昭和大学学士会
2018
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 2187-719X 2188-529X |
| DOI | 10.14930/jshowaunivsoc.78.649 |
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| Summary: | 創縫合手技は外科必須修得項目であるが,医学生や臨床研修医がon the job training(OJT現任訓練,以下OJT)で修練することは人権意識の高まりや医療安全上の見地から困難になりつつある.このため,学習者は人工素材を用いた医学教育用縫合シミュレータで学習する機会が多いが,これらはヒトの皮膚に近似するものではあるものの,その進展性や構造はまだ十分とはいえない.このため,よりヒトに組織構造が近いブタ臓器を用いた外科手技シミュレーション講習会を企画・運営する機会を得たので報告する.2011年度から毎年1回,昭和大学横浜市北部病院医療教育支援室および消化器センターなど外科系医師の協力の下で開催した.開催は毎年度秋または冬の土曜日午後,神奈川県足柄上郡中井町にあるテルモメディカルプラネックスⓇへバス移動し,約3時間半の実技講習を行った.これまでに延べ208名(臨床研修医122名,外科系医師86名)が参加した.基本的な外科手技の修得のみならず,最近の内視鏡下手術の広がりやよりレベルの高い手技も体験させることを意図して(1)皮膚創縫合,(2)気管切開,(3)腹腔鏡下胆嚢摘出術(4)臓器吻合(胃–小腸)とし,2013年度からは新たに(5)血管吻合を追加した.臨床研修医からの結果では,手技の自己達成感について約95%が「達成できた(good)」と回答した.また指導方法についても約90%が「適切である(good)」と回答した.講習時間配分については,約37%が「時間が足りなかった(poor)」という意見であった.ブタ臓器を用いた本講習会の開催により,集中的に基本的外科手技を学習することができ大変好評であった.年度初め4月の研修開始から半年以上経った時期での開催は,学生実習や研修早期に学んだ知識や技術の再確認に有用であり,また受講者の基本的な外科手技の向上に結びつくことができるものと考えられる.その開催には費用や講師への配慮を要するが,本講習会に参加することが将来のキャリア形成を見据えた外科臨床を理解・経験する機会と捉え,今後も充実させていきたい. |
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| ISSN: | 2187-719X 2188-529X |
| DOI: | 10.14930/jshowaunivsoc.78.649 |