保健師による「活動の対象とめざす成果」の記述の実態
目的 保健師に活動の対象とめざす成果の記述を求め,活動計画等の説明に必要な構文の要素(活動の対象,成果の内容,時間,程度)の有無とその内容の実態を検討する。方法 無作為抽出した全国自治体の常勤保健師を対象に,平成22年11~12月に自記式質問紙調査を行った。活動の対象とめざす成果の記述は構文完成型設問で求め,各要素の有無別の人数分布と記述内容,一連の記述内での要素の「記述あり」を合計した要素数(要素数 4,要素数 3,要素数 2,要素数 1,要素数 0)別の人数分布,要素数と属性(保健師経験年数,所属)との統計的関連を確認した。各要素の記述内容は,類似する意味ごとに分類し,分析した。結果 調査...
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| Published in | 日本公衆衛生雑誌 Vol. 64; no. 2; pp. 61 - 69 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本公衆衛生学会
2017
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0546-1766 2187-8986 |
| DOI | 10.11236/jph.64.2_61 |
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| Summary: | 目的 保健師に活動の対象とめざす成果の記述を求め,活動計画等の説明に必要な構文の要素(活動の対象,成果の内容,時間,程度)の有無とその内容の実態を検討する。方法 無作為抽出した全国自治体の常勤保健師を対象に,平成22年11~12月に自記式質問紙調査を行った。活動の対象とめざす成果の記述は構文完成型設問で求め,各要素の有無別の人数分布と記述内容,一連の記述内での要素の「記述あり」を合計した要素数(要素数 4,要素数 3,要素数 2,要素数 1,要素数 0)別の人数分布,要素数と属性(保健師経験年数,所属)との統計的関連を確認した。各要素の記述内容は,類似する意味ごとに分類し,分析した。結果 調査票配布数1,615,回収数1,088(67.4%),有効回答数961(59.5%)であった。活動の対象の要素の「記述あり」は81.0%,成果の内容の要素は58.8%,時間の要素は3.4%,程度の要素は18.5%であった。その記述内容は,活動の対象の要素は特定の属性や範囲,成果の内容の要素は健康指標や行動変容等に関する具体的な健康課題等,時間の要素は年度や年数などの期限等,程度の要素は全・無および特定の率・割合・数等であった。「記述」に該当した内容は,抽象的なビジョンであるか,活動の対象の成果ではなく自分自身の活動内容や状態を表すものが多かった。要素数別の結果は,要素数 4 が2.4%,要素数 3 が15.6%,要素数 2 が33.8%,要素数 1 が37.7%,要素数 0 が10.5%であり,要素数の減少において主に時間,程度,成果の内容,活動の対象の順に要素が欠落する傾向が観察された。要素数 4 の保健師は保健師経験年数が最も長く,所属は都道府県での割合が高かったが,要素数別の相関比および連関係数は0.1未満であった。結論 保健師による活動の対象とめざす成果の記述において,構文の要素をすべて含むものはわずかであり,とりわけ時間および程度の要素の記述が少なかった。要素の記述がない場合,抽象的あるいは保健師活動実績を表す内容が多かった。保健師には,対象の具体的な健康課題等の成果の内容と,その達成時期および数量的な程度を記述することに課題がある可能性が示唆された。 |
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| ISSN: | 0546-1766 2187-8986 |
| DOI: | 10.11236/jph.64.2_61 |