腰痛治療法判別のための腿挙げテストの有用性

腰椎椎間板ヘルニア(LHNP)と腰椎椎間関節症(LFS)に対する運動療法は,それぞれ腰椎伸展運動と屈曲運動で相反している.しかし両疾患の症状は類似することがあり,その運動療法選択には苦慮するケースもある.われわれはLFSに反応しやすい腿挙げテスト(KL-t)を考案し,その有用性について検討した.対象は,腰痛を主訴とし,それぞれの運動療法を行った外来患者73名である.KL-tは,壁を背に立ち,両大腿を交互に挙げるもので,施行後腰痛の軽減・消失があれば陽性,不変・悪化は陰性とした.有用性の検討は,運動療法開始前のX線像と,KL-t前後の脊椎アライメントの測定から行なった.結果,陽性46名のうち,4...

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Published in日本腰痛学会雑誌 Vol. 15; no. 1; pp. 150 - 156
Main Authors 稲田, 充, 友田, 淳雄, 上原, 徹, 松永, 寛, 青木, 一治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腰痛学会 2009
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ISSN1345-9074
1882-1863
DOI10.3753/yotsu.15.150

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Summary:腰椎椎間板ヘルニア(LHNP)と腰椎椎間関節症(LFS)に対する運動療法は,それぞれ腰椎伸展運動と屈曲運動で相反している.しかし両疾患の症状は類似することがあり,その運動療法選択には苦慮するケースもある.われわれはLFSに反応しやすい腿挙げテスト(KL-t)を考案し,その有用性について検討した.対象は,腰痛を主訴とし,それぞれの運動療法を行った外来患者73名である.KL-tは,壁を背に立ち,両大腿を交互に挙げるもので,施行後腰痛の軽減・消失があれば陽性,不変・悪化は陰性とした.有用性の検討は,運動療法開始前のX線像と,KL-t前後の脊椎アライメントの測定から行なった.結果,陽性46名のうち,40名(87%)がLFSであった.陽性者では,KL-t後腰椎の前彎が有意に減少しており,その原因として,腸腰筋の弛緩が腰椎前彎ストレスの減少に働いたからではないかと考えた.本研究から椎間板や椎間関節の変性変化が軽度で,運動療法選択に苦慮するようなケースには有用なテストと考えた.
ISSN:1345-9074
1882-1863
DOI:10.3753/yotsu.15.150