食道静脈瘤大量出血例に対するらせん結紮法の有用性についての検討

背景:出血量の多い食道静脈瘤症例では,出血点を同定して止血することは困難な場合もある.このような出血例に対して,効果的な止血方法を検討する. 対象と方法:2004年5月1日から2010年4月30日までに当院で経験した食道静脈瘤出血例で,噴出性出血を確認した65例を対象とした.止血には内視鏡的静脈瘤結紮術(Endoscopic varicealligation:EVL)を選択し,出血点を同定して結紮した群を出血同定群,出血点が同定できず食道胃接合部かららせん状に結紮したらせん群に分類しretorospectiveに検討した. 結果:出血同定群は55例,らせん結紮群は10例だった.出血同定群の2例...

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Published inJapanese Journal of Portal Hypertension Vol. 18; no. 2; pp. 106 - 110
Main Authors 中野, 茂, 松井, 哲平, 五十嵐, 良典, 住野, 泰清, 藤塚, 宜功, 竹内, 基, 高山, 竜司, 金山, 政洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 2012
The Japan Society for Portal Hypertension
Subjects
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ISSN1344-8447
2186-6376
DOI10.11423/jsph.18.106

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Summary:背景:出血量の多い食道静脈瘤症例では,出血点を同定して止血することは困難な場合もある.このような出血例に対して,効果的な止血方法を検討する. 対象と方法:2004年5月1日から2010年4月30日までに当院で経験した食道静脈瘤出血例で,噴出性出血を確認した65例を対象とした.止血には内視鏡的静脈瘤結紮術(Endoscopic varicealligation:EVL)を選択し,出血点を同定して結紮した群を出血同定群,出血点が同定できず食道胃接合部かららせん状に結紮したらせん群に分類しretorospectiveに検討した. 結果:出血同定群は55例,らせん結紮群は10例だった.出血同定群の2例,らせん結紮群の1例で止血が不能でS-B tubeを挿入した.両群間の背景,止血率,再出血率,生存率に有意差は認めなかった. 結語:出血量が多く視野の確保が困難な場合も,静脈瘤の上流側から結紮を加えることで止血することが可能である.手技は容易で合併症も少なく,治療成績も出血源が同定できた場合と同等であることから,出血点が不明な場合に試みる方法と考えられる.
ISSN:1344-8447
2186-6376
DOI:10.11423/jsph.18.106