術前診断に難渋した頸胸境界部に生じた胸腺腫の1例
術前診断に難渋した頸部に生じた胸腺腫の1例を経験したので報告する。症例は41歳女性。感冒症状あり近医を受診した際,左前頸部腫瘤を指摘され精査目的に当院紹介となった。頸部超音波検査で甲状腺左葉尾側に47×32×35mm,頸部造影CT検査で頸胸境界部に内部が不均一に造影される最大径10cm弱の腫瘤を認めた。腫瘤下縁は大動脈弓下レベルに達し,縦隔内で食道,気管を圧排していたが周囲臓器との連続性は認めなかった。穿刺吸引細胞診の所見では甲状腺由来の希少腫瘍や他臓器由来の悪性腫瘍も考慮されたが,鑑別は困難であった。診断的治療を目的とし,腫瘤摘出術を施行した。術後病理結果では胸腺腫の診断であり,腫瘤の他臓器...
Saved in:
Published in | 日本内分泌外科学会雑誌 Vol. 41; no. 4; pp. 306 - 310 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本内分泌外科学会
2024
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 2434-6535 2758-8785 |
DOI | 10.11226/ojjaes.41.4_306 |
Cover
Summary: | 術前診断に難渋した頸部に生じた胸腺腫の1例を経験したので報告する。症例は41歳女性。感冒症状あり近医を受診した際,左前頸部腫瘤を指摘され精査目的に当院紹介となった。頸部超音波検査で甲状腺左葉尾側に47×32×35mm,頸部造影CT検査で頸胸境界部に内部が不均一に造影される最大径10cm弱の腫瘤を認めた。腫瘤下縁は大動脈弓下レベルに達し,縦隔内で食道,気管を圧排していたが周囲臓器との連続性は認めなかった。穿刺吸引細胞診の所見では甲状腺由来の希少腫瘍や他臓器由来の悪性腫瘍も考慮されたが,鑑別は困難であった。診断的治療を目的とし,腫瘤摘出術を施行した。術後病理結果では胸腺腫の診断であり,腫瘤の他臓器への浸潤は認めず,悪性所見は認めなかった。頸部に生じた胸腺腫は術前診断が困難である場合が多いが,腫瘍の完全切除ができれば,組織型次第では良好な予後が期待できる。 |
---|---|
ISSN: | 2434-6535 2758-8785 |
DOI: | 10.11226/ojjaes.41.4_306 |