手術を施行した外傷性十二指腸壁内血腫の1小児例

症例は11歳の男児. 転倒時に首からぶら下げていたステンレス製の水筒で心窩部を強打した. 直後より腹痛と嘔吐を訴え, 来院時には上腹部の強い圧痛と反跳痛を認めた. 腹部造影CT検査で十二指腸下行脚に高信号域, 膵頭部に亀裂像と周囲に液体貯留を認め, 膵損傷を合併した外傷性十二指腸壁内血腫と診断した. 腹膜刺激症状が強く, 膵損傷も疑われ開腹手術を行った. 十二指腸の壁内血腫を除去し, 損傷した漿膜を縫合閉鎖した. 膵臓に大きな損傷はなかった. 術後経過良好で第13病日に退院した. 外傷性十二指腸壁内血腫では, 腹部症状が強い場合や他臓器損傷が疑われる場合, 治療の長期化が予測される場合には外科...

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Published inJournal of the Japanese Association for the Surgery of Trauma Vol. 33; no. 1; pp. 14 - 19
Main Authors 原, 真也, 山本, 祐太郎, 山崎, 浩史, 西山, 謹吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.01.2019
The Japanese Association for the Surgery of Trauma
Subjects
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.33.14

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Summary:症例は11歳の男児. 転倒時に首からぶら下げていたステンレス製の水筒で心窩部を強打した. 直後より腹痛と嘔吐を訴え, 来院時には上腹部の強い圧痛と反跳痛を認めた. 腹部造影CT検査で十二指腸下行脚に高信号域, 膵頭部に亀裂像と周囲に液体貯留を認め, 膵損傷を合併した外傷性十二指腸壁内血腫と診断した. 腹膜刺激症状が強く, 膵損傷も疑われ開腹手術を行った. 十二指腸の壁内血腫を除去し, 損傷した漿膜を縫合閉鎖した. 膵臓に大きな損傷はなかった. 術後経過良好で第13病日に退院した. 外傷性十二指腸壁内血腫では, 腹部症状が強い場合や他臓器損傷が疑われる場合, 治療の長期化が予測される場合には外科的治療を考慮する必要がある.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.33.14