中山間地域在住高齢者におけるウォーキング行動の変容ステージに関連する要因

目的 中山間地域在住高齢者におけるウォーキング行動の変容ステージに関連する要因を明らかにし,介入への示唆を得ることを目的とした。 方法 2012年 7 月,岡山県高梁市川上地域在住の60歳~74歳の高齢者全員(752人)を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した。調査票は,川上地域愛育委員により配布し,郵送により回収を行った。調査内容は,基本属性(年齢,性別,家族構成他),ウォーキング行動の変容ステージ(以下,ステージ),ウォーキング行動におけるセルフエフィカシー(以下,エフィカシー),物理的環境認知,社会的環境認知とした。分析方法は,ステージを 3 群(未実施群・準備群・実施群)に分け,χ2...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 61; no. 4; pp. 167 - 175
Main Authors 坂野, 純子, 太田, 清美, 二宮, 一枝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2014
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.61.4_167

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Summary:目的 中山間地域在住高齢者におけるウォーキング行動の変容ステージに関連する要因を明らかにし,介入への示唆を得ることを目的とした。 方法 2012年 7 月,岡山県高梁市川上地域在住の60歳~74歳の高齢者全員(752人)を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した。調査票は,川上地域愛育委員により配布し,郵送により回収を行った。調査内容は,基本属性(年齢,性別,家族構成他),ウォーキング行動の変容ステージ(以下,ステージ),ウォーキング行動におけるセルフエフィカシー(以下,エフィカシー),物理的環境認知,社会的環境認知とした。分析方法は,ステージを 3 群(未実施群・準備群・実施群)に分け,χ2 検定および Kruskal-Wallis 検定,下位検定として Mann-Whitney の U 検定を行った。その際,Bonferroni 法による多重比較補正を用い,有意水準を 5%とした。 結果 回収数325人(回収率43.2%)のうち,すべての項目に欠損のない164人を分析対象とした。平均年齢66.4±4.5歳,女性91人(55.5%),準備群69人(42.1%),未実施群52人(31.7%),実施群43人(26.2%)であった。基本属性では,性別のみ群間に有意な差が認められた。Kruskal-Wallis 検定の結果,群間に有意な差が認められた要因は,エフィカシー,物理的環境認知の「景観」,社会的環境認知の「アドバイス・指導」,「理解・共感」,「激励・応援」,「共同実施」,「賞賛・評価」であった。多重比較の結果,未実施群と準備群との間で有意な差が認められたのは,エフィカシー,「景観」,「アドバイス・指導」であった。また,準備群と実施群との間で有意な差が認められたのは,エフィカシー,「理解・共感」であった。 結論 ステージには,性別,エフィカシー,物理的環境(景観),社会的環境(全項目)が関係していた。ステージの後期への移行には,景観の整備や情報提供,家族や友人のサポートへの介入が有効である可能性が示された。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.61.4_167