救命救急センターにおける“臓器・組織提供の意思に対するアンケート”を使用した選択肢提示が家族の臓器提供に関連する行動を促す効果
救急終末期における意思決定は家族に委ねられることがほとんどであり,これには臓器提供の意思決定も含まれる.適切なタイミングによる選択肢提示は,家族による患者本人の臓器提供意思の確認や,家族同士の話し合いを促すなど,臓器提供に関連する行動のきっかけにつながる可能性が推測される.これより,アンケートを使用した臓器提供の選択肢提示が家族の行動を促す効果を検証した.対象は三次救急で搬送され,1週間以内に亡くなった患者の家族である.本研究における介入はアンケートを使用した臓器提供の選択肢提示である.介入の有無は来院した日付によって準無作為に決定した.調査は在院時の「看護記録」,介入に使用した「アンケート」...
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Published in | 昭和学士会雑誌 Vol. 80; no. 6; pp. 546 - 556 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学学士会
2020
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 2187-719X 2188-529X |
DOI | 10.14930/jshowaunivsoc.80.546 |
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Summary: | 救急終末期における意思決定は家族に委ねられることがほとんどであり,これには臓器提供の意思決定も含まれる.適切なタイミングによる選択肢提示は,家族による患者本人の臓器提供意思の確認や,家族同士の話し合いを促すなど,臓器提供に関連する行動のきっかけにつながる可能性が推測される.これより,アンケートを使用した臓器提供の選択肢提示が家族の行動を促す効果を検証した.対象は三次救急で搬送され,1週間以内に亡くなった患者の家族である.本研究における介入はアンケートを使用した臓器提供の選択肢提示である.介入の有無は来院した日付によって準無作為に決定した.調査は在院時の「看護記録」,介入に使用した「アンケート」,死亡から8週後に行った「郵送質問紙調査」とした.111名(36.3%)から有効回答を得た.選択肢提示介入の有(51名:45.9%),無(60名:54.1%)で臓器提供に関連する行動に差はみられなかった.対象を層別すると,患者が生産年齢(66.7% vs 12.5%,p=0.04),家族が女性(24.1% vs 3.1%,p=0.02),家族が混乱している(40.0% vs 0.0%,p=0.004),例で介入により臓器提供に関連する行動である「家族の話し合い」が増加した.アンケートが臓器提供に関連する行動を促す効果は限定的ではあるが,一部の家族において臓器提供に関連する行動を促していた.より丁寧な臓器提供の選択肢提示には段階的な介入が重要であり,初期段階の対応として有効である可能性が示唆された. |
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ISSN: | 2187-719X 2188-529X |
DOI: | 10.14930/jshowaunivsoc.80.546 |