がん検診,健康日本21等におけるナッジの活用事例
「ナッジ」とは,行動経済学の分野で提唱された概念で,「人々を強制することなく,望ましい行動に誘導するようなシグナルまたは仕組み」と定義されている。こうすれば健康に良い(あるいは悪い)ことはわかっているけど行動に出ない,という場面は保健・医療の分野でよくあり,行動経済学的な考え方が保健・医療の分野で注目されるようになったのは必然だと言える。本稿ではがん検診,国の健康計画である「健康日本21」の栄養・食生活,身体活動,たばこ対策の分野での「ナッジ」の活用例を紹介する。がん検診では検診の案内,申込,受診,精密検査受診などのフェーズで「ナッジ」の実践事例があった。栄養・食生活ではスマートミールの提供,...
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Published in | 医療と社会 Vol. 35; no. 1; pp. 49 - 59 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 医療科学研究所
28.04.2025
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Subjects | |
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ISSN | 0916-9202 1883-4477 |
DOI | 10.4091/iken.35-49 |
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Summary: | 「ナッジ」とは,行動経済学の分野で提唱された概念で,「人々を強制することなく,望ましい行動に誘導するようなシグナルまたは仕組み」と定義されている。こうすれば健康に良い(あるいは悪い)ことはわかっているけど行動に出ない,という場面は保健・医療の分野でよくあり,行動経済学的な考え方が保健・医療の分野で注目されるようになったのは必然だと言える。本稿ではがん検診,国の健康計画である「健康日本21」の栄養・食生活,身体活動,たばこ対策の分野での「ナッジ」の活用例を紹介する。がん検診では検診の案内,申込,受診,精密検査受診などのフェーズで「ナッジ」の実践事例があった。栄養・食生活ではスマートミールの提供,身体活動ではアプリや多面的地域介入,たばこ対策では検診・健診等の場での短時間禁煙介入などで「ナッジ」の考え方に沿った実践事例があった。これらの事例が今後の保健・医療活動に役立てられることを期待する。 |
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ISSN: | 0916-9202 1883-4477 |
DOI: | 10.4091/iken.35-49 |