A Contrastive Study of British and American Versions of the TV Comedy “The Office”

2001年にイギリスのBBCで放映されたテレビコメディー “The Office” は、本国で大ヒット後にアメリカ (NBC) でリメイクされた。本稿はその英米作品の比較・対照を通して、ユーモアの違いを明らかにする試みである。アメリカ版の第一作目 (pilot) は概ねイギリスの原作に忠実であるが、改訂・削除された箇所を分析すると、性表現、人種差別的表現の扱いに差異がみられた。第二作目以降は米視聴者向けの書き下ろしであった。イギリス人は皮肉が利いた「攻撃的」なハードユーモアを好むのに対し、アメリカ人は軽い冗談が飛び交う「友好的」なソフトユーモアを好む。また、イギリス版は日常における「絶望」を描...

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Published in時事英語学研究 Vol. 2008; no. 47; pp. 35 - 54
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本メディア英語学会 2008
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ISSN2186-1420
2187-0039
DOI10.11293/jaces1962.2008.47_35

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Summary:2001年にイギリスのBBCで放映されたテレビコメディー “The Office” は、本国で大ヒット後にアメリカ (NBC) でリメイクされた。本稿はその英米作品の比較・対照を通して、ユーモアの違いを明らかにする試みである。アメリカ版の第一作目 (pilot) は概ねイギリスの原作に忠実であるが、改訂・削除された箇所を分析すると、性表現、人種差別的表現の扱いに差異がみられた。第二作目以降は米視聴者向けの書き下ろしであった。イギリス人は皮肉が利いた「攻撃的」なハードユーモアを好むのに対し、アメリカ人は軽い冗談が飛び交う「友好的」なソフトユーモアを好む。また、イギリス版は日常における「絶望」を描く「現実に即した」笑いであるが、アメリカ版は「夢」を織り交ぜ、「現実離れ」した笑いである。台詞・筋・性格描写の分析によって、視聴者がテレビコメディーに求めるユーモアの差異、性表現・人種差別表現をめぐる社会通念が明らかになった。1
ISSN:2186-1420
2187-0039
DOI:10.11293/jaces1962.2008.47_35