悪性腫瘍との鑑別を要した口腔梅毒の1例
梅毒は梅毒トレポネーマ感染による性感染症である.第1期梅毒の初期症状として感染局所に硬結や硬性下疳および無痛性の所属リンパ節腫脹を生じる.今回われわれは,舌背部腫瘤と頸部リンパ節腫脹を主訴に来院し,悪性腫瘍との鑑別を要した症例を経験したので報告する.症例は87歳の男性,主訴は舌背部腫瘤および頸部リンパ節腫脹であった.CTおよびMRI所見では著明な頸部リンパ節の腫大を認めた.舌癌を疑い病理組織検査および血液検査を施行したところ,病理組織学的に悪性腫瘍は否定され,梅毒RPR(rapid plasma reagin)値が185R.U.と高値を示したことより口腔梅毒と診断した.治療はアモキシシリン(A...
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Published in | 昭和学士会雑誌 Vol. 77; no. 6; pp. 738 - 743 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学学士会
2018
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Subjects | |
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ISSN | 2187-719X 2188-529X |
DOI | 10.14930/jshowaunivsoc.77.738 |
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Summary: | 梅毒は梅毒トレポネーマ感染による性感染症である.第1期梅毒の初期症状として感染局所に硬結や硬性下疳および無痛性の所属リンパ節腫脹を生じる.今回われわれは,舌背部腫瘤と頸部リンパ節腫脹を主訴に来院し,悪性腫瘍との鑑別を要した症例を経験したので報告する.症例は87歳の男性,主訴は舌背部腫瘤および頸部リンパ節腫脹であった.CTおよびMRI所見では著明な頸部リンパ節の腫大を認めた.舌癌を疑い病理組織検査および血液検査を施行したところ,病理組織学的に悪性腫瘍は否定され,梅毒RPR(rapid plasma reagin)値が185R.U.と高値を示したことより口腔梅毒と診断した.治療はアモキシシリン(AMPC)1,500mg/日を経口投与した.治療開始後6週間後には舌および頸部リンパ節の腫脹は消退し,15週間後には梅毒RPR値が3.9R.U.と低値を示した. |
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ISSN: | 2187-719X 2188-529X |
DOI: | 10.14930/jshowaunivsoc.77.738 |