時空間脳波イメージングによる視覚誘発電位伝搬経路の可視化

脳波は計測環境の制限が少なく無侵襲で計測できるため,自然環境で脳機能を解明する有効な方法であるが,電極数が限られる上頭蓋骨の低電導性の影響により空間分解能は低い.この問題を解決する方法として,脳内ダイポールイメージングが提案されている.ダイポールイメージングによれば,脳内に仮想的に設置した等価ダイポール層によって,脳内電気活動を等価的に表現できる.我々は,シグモイド関数で近似したフィルタ特性を脳波逆問題に適用し,信号の再現と雑音の抑制を両立し,高精度ダイポール信号強度分布の推定を実現できた.本研究では,脳内の動的活動を詳細に見るため,ダイポールイメージングを時空間解析に拡張し,更に,実形状脳皮...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual57; no. Abstract; p. S216_2
Main Authors 斎藤, 翔太, 堀, 潤一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2019
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual57.S216_2

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Summary:脳波は計測環境の制限が少なく無侵襲で計測できるため,自然環境で脳機能を解明する有効な方法であるが,電極数が限られる上頭蓋骨の低電導性の影響により空間分解能は低い.この問題を解決する方法として,脳内ダイポールイメージングが提案されている.ダイポールイメージングによれば,脳内に仮想的に設置した等価ダイポール層によって,脳内電気活動を等価的に表現できる.我々は,シグモイド関数で近似したフィルタ特性を脳波逆問題に適用し,信号の再現と雑音の抑制を両立し,高精度ダイポール信号強度分布の推定を実現できた.本研究では,脳内の動的活動を詳細に見るため,ダイポールイメージングを時空間解析に拡張し,更に,実形状脳皮質モデルに投影することで,高精度可視化を実現した.シミュレーションで,提案手法による雑音の抑制と信号の局所化を確認した後,実脳波である視覚誘発電位に応用し,信号伝播経路の可視化を試みた.脳皮質電位に比べ,実形状脳内ダイポール信号強度分布で信号の位置,方向,伝搬経路を鮮明に確認でき,生理学的知見に一致した結果が得られた.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual57.S216_2