混合性結合組織病に合併した特発性門脈圧亢進症により難治性シャント型肝性脳症を発症した一例
症例は70歳台女性.2018年から肺高血圧症を伴った混合性結合組織病と診断され当院膠原病内科に通院していた.2023年6月初旬より意識障害と高アンモニア血症が出現し当科を紹介された.腹部CTで脾腫と巨大な門脈大循環短絡路を認めたが,肝臓の組織学的検査で肝硬変は認めず,肝静脈圧較差に臨床的に有意な上昇は認めなかった.検査結果を総合して混合性結合組織病に合併した特発性門脈圧亢進症により形成された門脈大循環短絡路が原因のシャント型肝性脳症と診断した.意識障害は薬物抵抗性であり,治療として短絡路温存門脈大循環分流術を行った.術後血中アンモニア値は低下し意識障害は改善,門脈圧亢進症状増悪も認めなかった....
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| Published in | 肝臓 Vol. 66; no. 5; pp. 198 - 204 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
01.05.2025
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI | 10.2957/kanzo.66.198 |
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| Summary: | 症例は70歳台女性.2018年から肺高血圧症を伴った混合性結合組織病と診断され当院膠原病内科に通院していた.2023年6月初旬より意識障害と高アンモニア血症が出現し当科を紹介された.腹部CTで脾腫と巨大な門脈大循環短絡路を認めたが,肝臓の組織学的検査で肝硬変は認めず,肝静脈圧較差に臨床的に有意な上昇は認めなかった.検査結果を総合して混合性結合組織病に合併した特発性門脈圧亢進症により形成された門脈大循環短絡路が原因のシャント型肝性脳症と診断した.意識障害は薬物抵抗性であり,治療として短絡路温存門脈大循環分流術を行った.術後血中アンモニア値は低下し意識障害は改善,門脈圧亢進症状増悪も認めなかった.本症例は混合性結合組織病にシャント型肝性脳症を発症した稀な症例と考えられ,治療として短絡路温存門脈大循環分流術が有効であった. |
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| ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI: | 10.2957/kanzo.66.198 |