TNFα阻害剤投与により増悪を来した抗ARS抗体症候群の2例

症例1:49歳男性.関節痛を主訴に初診,関節リウマチと診断されメソトレキセート(MTX),ミゾリビンにて加療されるも効果不十分のため,アダリムマブ(ADA)を投与.ADA投与後よりCK高値を認め,労作時呼吸苦が出現,胸部CTにて肺間質影の増悪を認めたため,入院精査となった.肺間質影は薬剤中止で自然軽快したが,CK高値が持続.抗EJ抗体陽性より抗ARS抗体症候群と診断され,プレドニゾロン(PSL)ならびにタクロリムスの併用治療を行い,改善を認め退院となった. 症例2:47歳女性.関節痛に対しMTXを投与されるも効果不十分であり,インフリキシマブを投与.その後CK12150IU/Lと高値を来し,間...

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Published in臨床リウマチ Vol. 25; no. 4; pp. 269 - 275
Main Authors 田村, 直人, 高橋, 敬子, 松下, 雅和, 今, 高之, 加藤, 友美, 李, 鍾碩, 野澤, 和久, 髙崎, 芳成, 岩下, 紋子, 山路, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床リウマチ学会 2013
The Japanese Society for Clinical Rheumatology and Related Research
Subjects
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ISSN0914-8760
2189-0595
DOI10.14961/cra.25.269

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Summary:症例1:49歳男性.関節痛を主訴に初診,関節リウマチと診断されメソトレキセート(MTX),ミゾリビンにて加療されるも効果不十分のため,アダリムマブ(ADA)を投与.ADA投与後よりCK高値を認め,労作時呼吸苦が出現,胸部CTにて肺間質影の増悪を認めたため,入院精査となった.肺間質影は薬剤中止で自然軽快したが,CK高値が持続.抗EJ抗体陽性より抗ARS抗体症候群と診断され,プレドニゾロン(PSL)ならびにタクロリムスの併用治療を行い,改善を認め退院となった. 症例2:47歳女性.関節痛に対しMTXを投与されるも効果不十分であり,インフリキシマブを投与.その後CK12150IU/Lと高値を来し,間質性肺炎の発症を認めたため,精査加療目的に当院へ紹介となった.入院精査にて多発性筋炎の診断となり,PSL,シクロスポリンによる加療を行われ,改善を認めた.経過中,抗PL-7抗体陽性を認め,抗ARS抗体症候群と診断された. 考察:TNFα阻害剤投与により,抗ARS抗体症候群の発症,増悪を来す可能性があることが示唆された.投与の際は肺病変,筋病変などの発症・増悪に注意する必要がある.
ISSN:0914-8760
2189-0595
DOI:10.14961/cra.25.269