踵軌跡の特徴にもとづいた数式モデルによる安全な階段寸法の分析―高齢社会に対応した法律や指針が推奨する階段寸法の検討

階段の降段時の転倒・転落事故が高齢者に多く,階段事故の予防のためにも高齢者に対応した安全な階段に関する研究が重要といえる.そこで,高齢者を対象としてモーションキャプチャ装置により階段降段の3次元動作分析をおこなった.速いケイデンスで降段するとヒールクリアランスが短縮し,踵軌跡が直線的になりやすいことがわかった.そこで,既報で用いた平均的な歩行と平均から逸脱した歩行を考慮した足の置き方のパラメータによって説明することができる関数からなる数式モデルにより高齢者に対応した安全な階段寸法を算出した.ハートビル法の最低基準の階段寸法についても検証したところ,踏面30cm以上,蹴上げ10cm以下の階段寸法...

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Published inバイオメカニズム学会誌 Vol. 33; no. 1; pp. 64 - 72
Main Authors 江原, 義弘, 大西, 明宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published バイオメカニズム学会 2009
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ISSN0285-0885
DOI10.3951/sobim.33.64

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Summary:階段の降段時の転倒・転落事故が高齢者に多く,階段事故の予防のためにも高齢者に対応した安全な階段に関する研究が重要といえる.そこで,高齢者を対象としてモーションキャプチャ装置により階段降段の3次元動作分析をおこなった.速いケイデンスで降段するとヒールクリアランスが短縮し,踵軌跡が直線的になりやすいことがわかった.そこで,既報で用いた平均的な歩行と平均から逸脱した歩行を考慮した足の置き方のパラメータによって説明することができる関数からなる数式モデルにより高齢者に対応した安全な階段寸法を算出した.ハートビル法の最低基準の階段寸法についても検証したところ,踏面30cm以上,蹴上げ10cm以下の階段寸法を建築物の容積に許容のある範囲内で採用することが望ましいと考えられた.ただし,長寿社会対応住宅設計指針が住宅内の基準として推奨する階段寸法を検討したところ,容積の許容の面から一般的な住宅に適用するのは困難であると考えられた.
ISSN:0285-0885
DOI:10.3951/sobim.33.64