介護保険サービス利用者の生きがい就業を支援する意義―通所介護事業所の所長が支援を始めるまでのライフストーリーの分析から

本研究は,介護保険サービス利用者の生きがい就業を支援している実務家が,どのような経験を経て,利用者の生きがい就業に対する支援が必要と思うに至ったのかを研究対象者の経験を重視したライフストーリーという観点から明らかにし,生きがい就業を支援する意義について考察することを目的とした。生きがい就業の支援を導入した経験を持つ,通所介護事業所の所長にインタビューを行い,ライフストーリーを構築した。分析を行った結果,利用者の見えにくい主体性の排除という介護現場の抱える課題が明らかとなり,介護保険サービス利用者の生きがい就業を支援することには,介護を受けるものが働く場面における見えにくい主体性の否定によって,...

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Published in労働科学 Vol. 98; no. 1; pp. 25 - 35
Main Authors 佐川, 佳南枝, 小川, 芳徳, 森本, 誠司, 小川, 敬之, 原田, 瞬, 永井, 邦明, 川﨑, 一平, 田端, 重樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人大原記念労働科学研究所 2022
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ISSN0022-443X
2187-2570
DOI10.11355/isljsl.98.25

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Summary:本研究は,介護保険サービス利用者の生きがい就業を支援している実務家が,どのような経験を経て,利用者の生きがい就業に対する支援が必要と思うに至ったのかを研究対象者の経験を重視したライフストーリーという観点から明らかにし,生きがい就業を支援する意義について考察することを目的とした。生きがい就業の支援を導入した経験を持つ,通所介護事業所の所長にインタビューを行い,ライフストーリーを構築した。分析を行った結果,利用者の見えにくい主体性の排除という介護現場の抱える課題が明らかとなり,介護保険サービス利用者の生きがい就業を支援することには,介護を受けるものが働く場面における見えにくい主体性の否定によって,働く機会を得ることが困難な利用者を支援するという意味があることが示唆された。
ISSN:0022-443X
2187-2570
DOI:10.11355/isljsl.98.25