柏市における在宅医療・介護多職種連携推進事業

千葉県柏市では,急激に高齢化が進む中,超高齢社会に対応するまちづくりに取り組むために,2009年に東京大学・UR都市再生機構との3 者で,「柏市豊四季台地域高齢社会総合研究会」を設置した.翌年には協定を締結し,主に「生きがい就労」と「在宅医療」の取り組みを進めている.在宅医療の推進では「在宅医療に取り組む医師の負担軽減」「医療介護の多職種連携の推進」「情報共有システムの構築」「市民への啓発及び相談」「地域医療拠点の整備」という5 つの取り組みを,医師会を始めとする医療・介護関係団体と協働で行っている.  その中で歯科については,柏歯科医師会を中心として,主に次にあげる二つの取り組みを行っている...

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Published in保健医療科学 Vol. 65; no. 4; pp. 375 - 384
Main Author 稲荷田, 修一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立保健医療科学院 2016
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ISSN1347-6459
2432-0722
DOI10.20683/jniph.65.4_375

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Summary:千葉県柏市では,急激に高齢化が進む中,超高齢社会に対応するまちづくりに取り組むために,2009年に東京大学・UR都市再生機構との3 者で,「柏市豊四季台地域高齢社会総合研究会」を設置した.翌年には協定を締結し,主に「生きがい就労」と「在宅医療」の取り組みを進めている.在宅医療の推進では「在宅医療に取り組む医師の負担軽減」「医療介護の多職種連携の推進」「情報共有システムの構築」「市民への啓発及び相談」「地域医療拠点の整備」という5 つの取り組みを,医師会を始めとする医療・介護関係団体と協働で行っている.  その中で歯科については,柏歯科医師会を中心として,主に次にあげる二つの取り組みを行っている.ひとつは「口腔ケアチェックシート」の作成と普及啓発である.多職種が簡便に利用者・患者の口腔機能をアセスメントでき,ご本人・ご家族も同様にセルフチェックができるようなツールとして当該シートを作成.口腔の問題を簡易に抽出し,必要時歯科医師につなぐような仕組みを作った.この活用にあたっては,そもそも多職種間の顔の見える関係の構築が重要である.  もうひとつは,総合特区制度を活用して,「リハビリ職による訪問リハビリ事業所の開設」及び「歯科衛生士の居宅療養管理指導を,歯科医院から離れた場所から提供できる」規制緩和を申請したものである.この仕組みにより,同年11月に柏歯科医師会が「口腔ケアセンター」を設置.協力歯科医師とセンターの歯科衛生士が雇用契約を締結し,居宅療養管理指導を行い,実施件数が増加しているところである.  一方,単一職種の動きでは効率的な支援に限界があることから,特区制度の枠組みを活用して,口腔・運動・栄養のサービスがトータルに提供できる仕組み(トータルヘルスケアステーション)を市内で展開することを,歯科医師会・在宅リハビリテーション連絡会・栄養士会等と協議中である.予防から人生の最終段階まで切れ目なく支援が提供でき,安心して暮らせるまちづくりを,関係団体と連携して推進しているところである.
ISSN:1347-6459
2432-0722
DOI:10.20683/jniph.65.4_375