暗所中における障害物を跨ぐ際の先導脚のつま先軌跡の特徴

本研究の目的は,暗所で障害物を跨ぐ際のつま先の軌跡の特徴を明らかにすることと,障害物に光情報提示を施すことによる効果を検証することとした.健常な若年者 8名を対象に暗所及び明所での障害物跨ぎ動作を,モーションキャプチャシステムを用いて記録した.提示した障害物の条件は,光源を障害物上縁全体に貼付したもの,上縁両端に貼付したもの,貼付しないものの 3条件設定した.主成分分析を用いて障害物を跨ぐ際の遊脚期中におけるつま先の軌跡全体を分析した.主成分分析の結果,明所と暗所間において有意差が認められ,光情報の有無による有意差は認められなかった.そこで,明所と暗所におけるつま先の軌跡の特徴を再構築した結果...

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Published inバイオメカニズム学会誌 Vol. 45; no. 3; pp. 172 - 178
Main Authors 小林, 吉之, 山下, 勝, 小金澤, 鋼一, 五十嵐, 健太, 赤井, 智子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published バイオメカニズム学会 2021
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ISSN0285-0885
DOI10.3951/sobim.45.3_172

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Summary:本研究の目的は,暗所で障害物を跨ぐ際のつま先の軌跡の特徴を明らかにすることと,障害物に光情報提示を施すことによる効果を検証することとした.健常な若年者 8名を対象に暗所及び明所での障害物跨ぎ動作を,モーションキャプチャシステムを用いて記録した.提示した障害物の条件は,光源を障害物上縁全体に貼付したもの,上縁両端に貼付したもの,貼付しないものの 3条件設定した.主成分分析を用いて障害物を跨ぐ際の遊脚期中におけるつま先の軌跡全体を分析した.主成分分析の結果,明所と暗所間において有意差が認められ,光情報の有無による有意差は認められなかった.そこで,明所と暗所におけるつま先の軌跡の特徴を再構築した結果,暗所では障害物に対して遠い位置から跨ぎ始め,近い位置に接地すること,そしてつま先を高く上げる傾向が明らかになった.更にこれらの特徴について離散的なパラメータを統計学的に分析したところ,有意差が認められた.これらのことから,明所と暗所では障害物を跨ぐ際のつま先の軌跡の特徴は異なること,また今回のような光情報提示はつま先の軌跡に効果を与えないことが示された.
ISSN:0285-0885
DOI:10.3951/sobim.45.3_172