甲状腺癌に対するゲノム医療

根治切除不能甲状腺がんに対してソラフェニブ,レンバチニブ,バンデタニブなどのマルチキナーゼ阻害薬が使用可能になったが,薬剤耐性になった場合の治療選択肢は限られる。現在,がんゲノム医療が甲状腺がんにも進展している。セルペルカチニブは,RET遺伝子異常を有する固形癌患者を対象としたバスケット試験にて,根治切除不能なRET遺伝子異常陽性の甲状腺がんに対して良好な抗腫瘍効果,奏効期間,PFSを示し,承認された。がん遺伝子パネル検査は,実施可能施設に制限があったが,セルペルカチニブのコンパニオン診断薬であるオンコマインDx Target TestマルチCDxシステムは,全医療機関で実施可能になった。これ...

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Published in日本内分泌外科学会雑誌 Vol. 40; no. 1; pp. 33 - 37
Main Author 田原, 信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内分泌外科学会 2023
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ISSN2434-6535
2758-8785
DOI10.11226/ojjaes.40.1_33

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Summary:根治切除不能甲状腺がんに対してソラフェニブ,レンバチニブ,バンデタニブなどのマルチキナーゼ阻害薬が使用可能になったが,薬剤耐性になった場合の治療選択肢は限られる。現在,がんゲノム医療が甲状腺がんにも進展している。セルペルカチニブは,RET遺伝子異常を有する固形癌患者を対象としたバスケット試験にて,根治切除不能なRET遺伝子異常陽性の甲状腺がんに対して良好な抗腫瘍効果,奏効期間,PFSを示し,承認された。がん遺伝子パネル検査は,実施可能施設に制限があったが,セルペルカチニブのコンパニオン診断薬であるオンコマインDx Target TestマルチCDxシステムは,全医療機関で実施可能になった。これによって,甲状腺癌にもゲノム医療が推進することが期待される。しかし,頻度の高いBRAFV600E陽性患者に対する治療薬は未だ承認されておらず,がんゲノム難民が生じている。個別化医療を推進するためには,初回治療時の遺伝子異常検査が実施可能にすべきである。
ISSN:2434-6535
2758-8785
DOI:10.11226/ojjaes.40.1_33