重症患者における連続腸音解析システムの臨床応用

重症患者において腸蠕動運動を長時間観察し,客観的に評価することは難しい.今回,我々はリアルタイムに腸蠕動運動を可視化・定量化することができる非侵襲的なモニタを開発した.本モニタを用いて蠕動運動を連続測定したところ,重症患者においても腸蠕動運動は存在し,日内変動がある事が判明した.また腸蠕動運動が少ない症例においても水分等を経口摂取させることで増加する事も判明した.さらに敗血症患者において Interleukin-6(以下,IL-6と略)血中濃度の経時的変化と腸蠕動運動の相関を検討したところ,ステロイド非投与群で IL-6血中濃度の値と腸音数に負の相関を認め,腸蠕動運動は IL-6血中濃度が高い...

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Published in日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol. 31; no. 3; pp. 807 - 810
Main Authors 後藤, 順子, 吉野, 匠, 松田, 兼一, 菅原, 久徳, 針井, 則一, 阪田, 治, 高三野, 淳一, 森口, 武史, 原田, 大希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会 2016
Subjects
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ISSN2189-0161
2189-017X
DOI10.11244/jspen.31.807

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Summary:重症患者において腸蠕動運動を長時間観察し,客観的に評価することは難しい.今回,我々はリアルタイムに腸蠕動運動を可視化・定量化することができる非侵襲的なモニタを開発した.本モニタを用いて蠕動運動を連続測定したところ,重症患者においても腸蠕動運動は存在し,日内変動がある事が判明した.また腸蠕動運動が少ない症例においても水分等を経口摂取させることで増加する事も判明した.さらに敗血症患者において Interleukin-6(以下,IL-6と略)血中濃度の経時的変化と腸蠕動運動の相関を検討したところ,ステロイド非投与群で IL-6血中濃度の値と腸音数に負の相関を認め,腸蠕動運動は IL-6血中濃度が高いほど抑制されることが示唆された.本モニタは,重症患者において腸蠕動運動を連続的,定量的,非侵襲的に評価する方法として有用であり,腸蠕動運動に影響する内的および外的要因を明らかにすることで救命率向上の一助になると考えられた.
ISSN:2189-0161
2189-017X
DOI:10.11244/jspen.31.807