免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブを用いた術後補助療法後に生じた急性肝不全の2例
症例1は71歳女性.進行食道癌の術後補助療法,ニボルマブが開始され,1コース13日目で急性肝不全となった.免疫チェックポイント阻害薬(immune check point inhibitor:ICI)による肝障害が疑われ,肝生検後に高用量プレドニゾロン投与が開始されたが,治療効果が乏しく肝不全死した.症例2は79歳女性.進行食道癌の術後補助療法,ニボルマブが開始され,2コース1日目に急性肝不全となった.ICIによる肝障害が疑われ,第一病日に肝生検が行われ,同日ステロイドパルス療法が開始された.奏功し肝不全を離脱できたが,重症感染症による多臓器不全で他界した.2症例とも肝生検ではCD8優位のリン...
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Published in | 肝臓 Vol. 66; no. 5; pp. 188 - 197 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
01.05.2025
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.66.188 |
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Summary: | 症例1は71歳女性.進行食道癌の術後補助療法,ニボルマブが開始され,1コース13日目で急性肝不全となった.免疫チェックポイント阻害薬(immune check point inhibitor:ICI)による肝障害が疑われ,肝生検後に高用量プレドニゾロン投与が開始されたが,治療効果が乏しく肝不全死した.症例2は79歳女性.進行食道癌の術後補助療法,ニボルマブが開始され,2コース1日目に急性肝不全となった.ICIによる肝障害が疑われ,第一病日に肝生検が行われ,同日ステロイドパルス療法が開始された.奏功し肝不全を離脱できたが,重症感染症による多臓器不全で他界した.2症例とも肝生検ではCD8優位のリンパ球浸潤,広範囲な肝細胞壊死を認めた.ICIによる肝障害で肝不全に至る症例は稀である.残存肝細胞の保護には迅速かつ強力な免疫抑制療法が必要と推察され,ステロイドパルス療法は選択肢になり得ると考える. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.66.188 |