鎖骨上部の皮下組織の石灰化によりカテーテルが屈曲しシャント機能不全となった若年男性の1例

生後1カ月時に脳室腹腔シャント歴のある19歳の男性が頭痛と嘔吐を主訴に受診した. 頭部CTで水頭症の悪化を認め, バルブ圧の変更ができなかったためシャント機能不全を疑い, バルブおよび脳室側カテーテルのみの再建術を行ったが, 症状は改善しなかった. シャント造影検査を行うと鎖骨上でカテーテルがΩ状に屈曲していた. 再手術にて屈曲したカテーテル周囲の石灰化組織を除去し, カテーテルを直線化することで症状は改善した. カテーテルから遊離した成分により皮下組織の炎症が惹起されると, 周囲の皮下組織に石灰化が進行することがある. 本症例は腹腔側カテーテルの交換は行わず, 周囲組織の除去のみで良好な結果...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 31; no. 12; pp. 780 - 785
Main Authors 家護谷, 泰仁, 廣常, 信之, 村岡, 賢一郎, 五月女, 悠太, 西野, 繁樹, 松田, 勇輝, 木谷, 尚哉, 佐藤, 悠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本脳神経外科コングレス 2022
Subjects
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.31.780

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Summary:生後1カ月時に脳室腹腔シャント歴のある19歳の男性が頭痛と嘔吐を主訴に受診した. 頭部CTで水頭症の悪化を認め, バルブ圧の変更ができなかったためシャント機能不全を疑い, バルブおよび脳室側カテーテルのみの再建術を行ったが, 症状は改善しなかった. シャント造影検査を行うと鎖骨上でカテーテルがΩ状に屈曲していた. 再手術にて屈曲したカテーテル周囲の石灰化組織を除去し, カテーテルを直線化することで症状は改善した. カテーテルから遊離した成分により皮下組織の炎症が惹起されると, 周囲の皮下組織に石灰化が進行することがある. 本症例は腹腔側カテーテルの交換は行わず, 周囲組織の除去のみで良好な結果が得られた.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.31.780