セルフライゲーションブラケットで非抜歯治療を行ったAngle Cl. I 叢生症例

中程度の叢生を伴う症例の矯正治療では,歯列の拡大を伴う非抜歯とするか,便宜的小臼歯抜歯とするかの判断が難しい.歯の移動が顔貌や歯周組織に及ぼす影響の事前の予測が重要となるため,総合的な判断を要するが,既存の抜歯基準のみでは定量的な判断が困難な現状となっている.本症例は初診時年齢15 歳9 か月の女子で,上顎前歯の叢生と犬歯唇側転位を主訴に来院した.症例は上顎歯列に-5.5 mm のアーチレングスディスクレパンシーを伴うAngle I 級叢生症例で,セルフライゲーションタイプのプリアジャステッドエッジワイズ装置(0.022″×0.028″スロット)を用い,非抜歯での治療を行った.動的治療期間11...

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Published inDental Medicine Research Vol. 33; no. 2; pp. 178 - 184
Main Authors 宮崎(両川), ひろみ, 宮崎, 芳和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 2013
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ISSN1882-0719
2186-540X
DOI10.7881/dentalmedres.33.178

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Summary:中程度の叢生を伴う症例の矯正治療では,歯列の拡大を伴う非抜歯とするか,便宜的小臼歯抜歯とするかの判断が難しい.歯の移動が顔貌や歯周組織に及ぼす影響の事前の予測が重要となるため,総合的な判断を要するが,既存の抜歯基準のみでは定量的な判断が困難な現状となっている.本症例は初診時年齢15 歳9 か月の女子で,上顎前歯の叢生と犬歯唇側転位を主訴に来院した.症例は上顎歯列に-5.5 mm のアーチレングスディスクレパンシーを伴うAngle I 級叢生症例で,セルフライゲーションタイプのプリアジャステッドエッジワイズ装置(0.022″×0.028″スロット)を用い,非抜歯での治療を行った.動的治療期間11 か月にて叢生の解消とinterincisal angle の改善が得られたため,エッジワイズ装置を撤去し保定観察を開始した.下顎第二大臼歯の萌出スペース不足など,治療後の歯列咬合には非抜歯の方針に基づく問題点も見受けられたが,顔貌と歯列の調和を含め総じて適切な治療方針であったと考えられたので本治療について考察し報告する.
ISSN:1882-0719
2186-540X
DOI:10.7881/dentalmedres.33.178