知っておきたい関連領域のトピックス 司会のことば
超高齢社会を迎えたわが国においてはさまざまな慢性疾患を抱えた高齢者を診る機会が増え, 薬剤の相互作用や周術期の管理等について新しい知識を常に得ておく必要がある. 頻用される新規薬剤では作用機序を理解し, 副作用を知ることが重要であり, またよく経験する関連領域疾患の新しい概念や診断・治療法もアップデートしておく必要がある. このような背景からこのアドバンスト・コースでは5人の講師の先生に, 抗凝固療法のリスク管理, 薬剤による肝炎再燃, 精神科領域の新薬, 小児ウイルス性肺炎, 神経筋疾患の嚥下障害についてご解説頂く. 抗凝固薬は周術期の休薬が必要であり, 低出血リスクと高出血リスクの手術で最...
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          | Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 119; no. 11; p. 1447 | 
|---|---|
| Main Author | |
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
    
        20.11.2016
     日本耳鼻咽喉科学会  | 
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0030-6622 1883-0854  | 
| DOI | 10.3950/jibiinkoka.119.1447 | 
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| Summary: | 超高齢社会を迎えたわが国においてはさまざまな慢性疾患を抱えた高齢者を診る機会が増え, 薬剤の相互作用や周術期の管理等について新しい知識を常に得ておく必要がある. 頻用される新規薬剤では作用機序を理解し, 副作用を知ることが重要であり, またよく経験する関連領域疾患の新しい概念や診断・治療法もアップデートしておく必要がある. このような背景からこのアドバンスト・コースでは5人の講師の先生に, 抗凝固療法のリスク管理, 薬剤による肝炎再燃, 精神科領域の新薬, 小児ウイルス性肺炎, 神経筋疾患の嚥下障害についてご解説頂く. 抗凝固薬は周術期の休薬が必要であり, 低出血リスクと高出血リスクの手術で最低休薬期間が異なる. 休薬による塞栓症のリスク, 患者の腎機能を含めた全身状態等を個別に判断し, 休薬期間, ヘパリンブリッジの必要性を決定するなど, 知識の整理が必要である. B型肝炎の再燃は免疫抑制・化学療法によりウイルスが再増殖して生じる. 特に既往感染者からの再活性化による肝炎はde novo肝炎といわれ重症化しやすい. 免疫抑制・化学療法を施行する際はHBV感染をスクリーニングする必要があり, 核酸アナログによる治療や予防的投与など感染状態に応じた対応が求められる. 精神科領域では遺伝子診断や画像診断など最近の診断学の進歩は目覚ましい. 一方治療薬の開発も進み, 第2世代(非定型)新規抗精神病薬, 選択的セロトニン再取り込み阻害薬, セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬など新世代の薬物が登場してきており, 薬剤相互作用など使用上の注意も知っておく必要がある. 小児のウイルス性肺炎は上気道感染に伴うことが多く, 細菌性およびマイコプラズマ肺炎との鑑別が重要となる. 臨床的特徴が診断の補助となり, 抗原の迅速診断キットも有用である. 神経筋疾患に嚥下障害を伴いやすいことはよく知られている. ビデオ嚥下内視鏡の普及により, また社会の高齢化に伴う認知症などの増加より, 今後診療所でも診断を依頼される機会が増えると思われる. むせがなくても潜在的な誤嚥を診断することが早期対策に重要である. | 
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| ISSN: | 0030-6622 1883-0854  | 
| DOI: | 10.3950/jibiinkoka.119.1447 |