門脈腫瘍栓を伴う進行肝癌に合併した直腸静脈瘤に対して開腹下IVRが奏功した1例
症例は64歳男性.C型肝硬変,肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma : HCC)に対し当院通院中であった.CTでは下腸間膜静脈を供血路とした直腸静脈瘤を認め,静脈瘤の血管径は11 mmと拡張を認めた.下部消化管内視鏡では下部直腸後壁にF3相当,RC1の静脈瘤を認めた.同病変は出血のリスクがあると考え治療を予定したが,静脈瘤径が太く内視鏡的治療に抵抗性と思われ,またHCCに伴うVp4の門脈腫瘍栓のため経門脈的治療も困難と考えられた.そのため全身麻酔下・開腹下に経回結腸静脈的静脈瘤塞栓術,並びに排血路での塞栓術を組み合わせた同時性バルーン下塞栓術を施行した.術後軽度腹水を認め...
Saved in:
Published in | Japanese Journal of Portal Hypertension Vol. 19; no. 1; pp. 38 - 44 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本門脈圧亢進症学会
2013
The Japan Society for Portal Hypertension |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1344-8447 2186-6376 |
DOI | 10.11423/jsph.19.38 |
Cover
Summary: | 症例は64歳男性.C型肝硬変,肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma : HCC)に対し当院通院中であった.CTでは下腸間膜静脈を供血路とした直腸静脈瘤を認め,静脈瘤の血管径は11 mmと拡張を認めた.下部消化管内視鏡では下部直腸後壁にF3相当,RC1の静脈瘤を認めた.同病変は出血のリスクがあると考え治療を予定したが,静脈瘤径が太く内視鏡的治療に抵抗性と思われ,またHCCに伴うVp4の門脈腫瘍栓のため経門脈的治療も困難と考えられた.そのため全身麻酔下・開腹下に経回結腸静脈的静脈瘤塞栓術,並びに排血路での塞栓術を組み合わせた同時性バルーン下塞栓術を施行した.術後軽度腹水を認めたが利尿剤投与し速やかに改善した.本症例は術後約5か月目に肝不全死の転帰をたどるも,経過中直腸静脈瘤からの出血を認めず,また画像上静脈瘤は縮小したままであった.今回我々は直腸静脈瘤に対してIVR治療が奏功した症例を経験したので報告する. |
---|---|
ISSN: | 1344-8447 2186-6376 |
DOI: | 10.11423/jsph.19.38 |