成人Still病に対するトシリズマブ投与後に薬物性肝障害をきたした1例
60歳代女性.2週間前から高熱・関節痛・咽頭痛があり,下肢優位のサーモンピンク疹,脾腫,肝障害およびCRPとフェリチンの高値を認め,成人Still病と診断された.PSL治療を開始し,入院20日目にトシリズマブ静注を2回施行した.その後肝機能および炎症反応は改善し,PSL30 mg/日を内服しながら40日目に退院した.しかし退院2週間後にAST 990 UL,ALT 2284 IU/Lと肝障害を認め再入院した.発熱や皮疹,関節痛は認めず炎症反応の上昇もなく,Still病の再燃は否定的であった.肝病理組織では,肝細胞の核分裂像が少なく,Ki-67免疫染色陽性細胞数は1-2%程度で,apoptosi...
        Saved in:
      
    
          | Published in | 肝臓 Vol. 65; no. 8; pp. 397 - 406 | 
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本肝臓学会
    
        01.08.2024
     | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0451-4203 1881-3593  | 
| DOI | 10.2957/kanzo.65.397 | 
Cover
| Summary: | 60歳代女性.2週間前から高熱・関節痛・咽頭痛があり,下肢優位のサーモンピンク疹,脾腫,肝障害およびCRPとフェリチンの高値を認め,成人Still病と診断された.PSL治療を開始し,入院20日目にトシリズマブ静注を2回施行した.その後肝機能および炎症反応は改善し,PSL30 mg/日を内服しながら40日目に退院した.しかし退院2週間後にAST 990 UL,ALT 2284 IU/Lと肝障害を認め再入院した.発熱や皮疹,関節痛は認めず炎症反応の上昇もなく,Still病の再燃は否定的であった.肝病理組織では,肝細胞の核分裂像が少なく,Ki-67免疫染色陽性細胞数は1-2%程度で,apoptosisによる肝細胞障害も疑われたためトシリズマブによる薬物性肝障害と診断し,中止により徐々に改善を認めた.トシリズマブによる肝障害では,稀に重症化しうることに留意し定期的な肝機能検査が必要と思われる. | 
|---|---|
| ISSN: | 0451-4203 1881-3593  | 
| DOI: | 10.2957/kanzo.65.397 |