脂質濃度可変静脈モデルファントムを用いた無侵襲血中脂質濃度光学計測法の有効性の検討

動脈疾患の一因として近年注目されている食後高脂血症の診断には,食後の血中脂質濃度の時間変化の計測が必要である。我々は,近赤外波長領域で血中脂質濃度に応じて血液の散乱が変化する性質を利用し,後方散乱光を用いた空間分解計測法による無侵襲計測法の検討を進めてきた.今回,脂質濃度が可変な静脈モデルファントムを用いて提案手法の有効性を検討した.ファントムは静脈血とそれ以外の一般組織からなる.一般組織はエポキシ樹脂に酸化チタンと黒インクを加えて作成し,静脈を模擬するため,直径3 mm,中心深さ2.3 mmの円柱状の空洞を開けた.静脈血はウマ保存血液を遠心分離して血清のみを取り出し、そこに100~500 m...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual57; no. Abstract; p. S256_2
Main Authors 飯永, 一也, 下川部, 一真, 高見澤, 淳, 橋本, 守, 加藤, 祐次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2019
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual57.S256_2

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Summary:動脈疾患の一因として近年注目されている食後高脂血症の診断には,食後の血中脂質濃度の時間変化の計測が必要である。我々は,近赤外波長領域で血中脂質濃度に応じて血液の散乱が変化する性質を利用し,後方散乱光を用いた空間分解計測法による無侵襲計測法の検討を進めてきた.今回,脂質濃度が可変な静脈モデルファントムを用いて提案手法の有効性を検討した.ファントムは静脈血とそれ以外の一般組織からなる.一般組織はエポキシ樹脂に酸化チタンと黒インクを加えて作成し,静脈を模擬するため,直径3 mm,中心深さ2.3 mmの円柱状の空洞を開けた.静脈血はウマ保存血液を遠心分離して血清のみを取り出し、そこに100~500 mg/dl相当の脂質を模擬したイントラリピッドを加えた後,取り出した血清と同量だけ血球成分に戻して作成した.計測は、波長810 mmのLEDと7.6, 10.2, 12.7 mm離して直線状に配置した3個のPDを用いた.計測器は、静脈に対して直上かつ平行に配置した.実験結果から,脂質濃度の増加に対して散乱に依存する実効減衰係数が増加することが確認できた.また、数値シミュレーションからも同様な結果が得られた.したがって,提案手法の有効性が確認された.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual57.S256_2