光透視による内シャント石灰化病変描出に関する基礎的検討 Ⅱ~拡散光によるリン酸カルシウム描出の可能性

人工透析治療に不可欠な内シャントは狭窄や閉塞を起こしやすい血管であり,日常的な管理が重要となる.我々はこれまで,近赤外光を用いた生体透視を利用し,非侵襲的な内シャント管理手法を提案してきた.この手法は,血管狭窄部の形状および性状の経時的変化を同時に示すことが可能なことから,それを実現するシステムの構築を目指している.これにより,狭窄や閉塞の早期発見と早期対処が可能になると考える.これまでの検討では,石灰化病変の主成分であるリン酸カルシウムの特異吸収波長1,200 nmの近赤外光を光源とした.また検出器には,波長400~1,700 nmに感度を有するSWIR (Short wavelength...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual60; no. Abstract; p. 195_1
Main Authors 山下, 政司, 北間, 正崇, 清水, 孝一, 清水, 久恵, 伊東, 梓, 小島, 洋一郎, 横山, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2022
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual60.195_1

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Summary:人工透析治療に不可欠な内シャントは狭窄や閉塞を起こしやすい血管であり,日常的な管理が重要となる.我々はこれまで,近赤外光を用いた生体透視を利用し,非侵襲的な内シャント管理手法を提案してきた.この手法は,血管狭窄部の形状および性状の経時的変化を同時に示すことが可能なことから,それを実現するシステムの構築を目指している.これにより,狭窄や閉塞の早期発見と早期対処が可能になると考える.これまでの検討では,石灰化病変の主成分であるリン酸カルシウムの特異吸収波長1,200 nmの近赤外光を光源とした.また検出器には,波長400~1,700 nmに感度を有するSWIR (Short wavelength infrared) カメラを用いて,模擬石灰化病変を描出する可能性を示してきた.しかしこれまでの検討では,前腕に埋設された血管の石灰化進行を模擬した試料に対する狭窄部透視像の描出は,おこなっていない.そこで本報告では,リン酸カルシウムを含む狭窄部のある模擬血管を作製し,模擬前腕部に埋設して病変部のイメージングを試みた.前腕部を対象とした場合,その厚みから透過光による計測は難しいため,我々が提案している拡散光検出手法を用いる.その結果,血管透視像中に高い吸光度で石灰化病変部を描出でき,周辺組織との識別が可能であることが確認できた.今後,狭窄サイズや脂質等に起因する狭窄との識別についても検討を進め,光イメージングにより血管性状の経時的変化をとらえ得る計測システムの実現を目指す.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual60.195_1