生体内への電力伝送を目的とした磁界共鳴型無線電力伝送システムの受電コイルに体内環境が与える影響調査

生体埋め込み医療機器への無線電力伝送の実現は、従来の埋め込み機器の欠点であった電池交換のための手術を不要とし、患者のQOLの向上が期待される。特に磁界共鳴方式による無線電力伝送は、体内深部に埋め込まれた医療機器に効率よく電力を送信する方法として研究が進められている。しかし、生体内に受電コイルを埋め込むと、コイルの電気的特性が空中に比べて大きく変化する。すなわち体内ではコイルの実効インダクタンスが増大するとともに自己共振周波数が大きく低下する。またコイルの交流抵抗が増大する。この結果、受電回路の共振周波数にずれが生じ、電力伝送効率が低下してしまう。これらの変化はコイルを取り巻く体液や生体組織によ...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual57; no. Abstract; p. S91_2
Main Authors 山本, 新, 加藤, 諒, 京相, 雅樹, 大嶋, 真広, 島谷, 祐一, 峯村, 康平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2019
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual57.S91_2

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Summary:生体埋め込み医療機器への無線電力伝送の実現は、従来の埋め込み機器の欠点であった電池交換のための手術を不要とし、患者のQOLの向上が期待される。特に磁界共鳴方式による無線電力伝送は、体内深部に埋め込まれた医療機器に効率よく電力を送信する方法として研究が進められている。しかし、生体内に受電コイルを埋め込むと、コイルの電気的特性が空中に比べて大きく変化する。すなわち体内ではコイルの実効インダクタンスが増大するとともに自己共振周波数が大きく低下する。またコイルの交流抵抗が増大する。この結果、受電回路の共振周波数にずれが生じ、電力伝送効率が低下してしまう。これらの変化はコイルを取り巻く体液や生体組織によって生じていると思われるが、その詳細な原因についてはいまだ解明されていない。そこで本研究では、生体埋め込み型機器への効率的な無線電力伝送を目的とし、体液に含まれる電解質の濃度、移動度、コイルを覆う体液層の厚み等が影響しているとの仮説のもと、生体等価ファントムを使用して体内環境を再現し、受電コイルの電気的特性変化の原因を解明する試みを行った。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual57.S91_2