腸重積をきたした神経線維腫症1型に伴う小腸悪性末梢神経鞘腫の1例

症例は77歳,男性.既往に神経線維腫症1型があり,3年前に右耳介後部の腫瘍摘出術を他院で施行し,病理で悪性末梢神経鞘腫の診断であった.今回,腰痛で体動困難となり搬送された.CTでは腰椎近傍の腫瘍による骨破壊の他に,偶発的に小腸腫瘍による腸重積と亜腸閉塞を認め,外科に紹介となった.イレウス管で減圧の後,準緊急で腹腔鏡下小腸部分切除術を施行した.病理結果では紡錘形細胞の構造分化を見ない充実性増生を認め,免疫染色の結果と合わせて小腸悪性末梢神経鞘腫と診断した.経過は良好で,術後15日目に整形外科に転科となったが,腰椎腫瘍に対する治療は希望せず,術後4カ月目に療養先の病院で原病死した.悪性末梢神経鞘腫...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 2; pp. 250 - 255
Main Authors 河合, 徹, 相場, 利貞, 宮地, 正彦, 中橋, 剛一, 京兼, 隆典, 山崎, 公稔, 鈴木, 大介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.250

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Summary:症例は77歳,男性.既往に神経線維腫症1型があり,3年前に右耳介後部の腫瘍摘出術を他院で施行し,病理で悪性末梢神経鞘腫の診断であった.今回,腰痛で体動困難となり搬送された.CTでは腰椎近傍の腫瘍による骨破壊の他に,偶発的に小腸腫瘍による腸重積と亜腸閉塞を認め,外科に紹介となった.イレウス管で減圧の後,準緊急で腹腔鏡下小腸部分切除術を施行した.病理結果では紡錘形細胞の構造分化を見ない充実性増生を認め,免疫染色の結果と合わせて小腸悪性末梢神経鞘腫と診断した.経過は良好で,術後15日目に整形外科に転科となったが,腰椎腫瘍に対する治療は希望せず,術後4カ月目に療養先の病院で原病死した.悪性末梢神経鞘腫の多くは体幹・四肢に生じ,消化管に発生するものは非常にまれである.今回,われわれは神経線維腫症1型に伴うまれな小腸悪性末梢神経鞘腫の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.250