光温熱療法を支えるmulti-physics simulationの課題

レーザー光を用いた温熱治療は従来よりも局所的な加温を可能とする。この時、生体では、光の伝搬と熱の伝導の2つの物理現象が生じる。本発表では、光拡散方程式と生体伝熱方程式を用いた連成数値計算を行い、生体側の特性で留意する点について報告する。数値計算では、光伝搬について光の吸収係数および散乱係数、異方性パラメータ、屈折率を考慮した。また熱伝導について密度、比熱、熱伝導率、脳血流量を考慮した。計算領域として一辺50mmの立方体を想定し、境界条件として脳表を仮定した面において光伝搬、熱伝導ともにロビン条件とした。脳内を仮定した面では光伝搬はディリクレ条件、熱伝導ではノイマン条件とした。負荷は計算領域中央...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 196_1
Main Authors 鷲尾, 利克, 佐野, 史弥, 厚見, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual61.196_1

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Summary:レーザー光を用いた温熱治療は従来よりも局所的な加温を可能とする。この時、生体では、光の伝搬と熱の伝導の2つの物理現象が生じる。本発表では、光拡散方程式と生体伝熱方程式を用いた連成数値計算を行い、生体側の特性で留意する点について報告する。数値計算では、光伝搬について光の吸収係数および散乱係数、異方性パラメータ、屈折率を考慮した。また熱伝導について密度、比熱、熱伝導率、脳血流量を考慮した。計算領域として一辺50mmの立方体を想定し、境界条件として脳表を仮定した面において光伝搬、熱伝導ともにロビン条件とした。脳内を仮定した面では光伝搬はディリクレ条件、熱伝導ではノイマン条件とした。負荷は計算領域中央に1Wのレーザー光を2秒オン、2秒オフの繰り返しを360秒分与え、その時間分の計算を行った。生体側の特性として複数条件を考慮したのは、従来研究で最も広くばらついて報告されている光の吸収係数及び等価散乱係数であり、その組み合わせを6種類設定した。数値計算結果と、従来研究の兎での実測値を比較し、吸収係数が0.01/mm、等価散乱係数が10/mmの組み合わせが生体の特性として妥当であると判断した。一方、臨床機器の結果と数値シミュレーションの比較した従来研究で、吸収係数が0.5/mm、等価散乱係数が1.68/mmの組み合わせが妥当であると報告されている。数値計算の信頼性を向上させるために生体側の光に関する特性値の一意性を得ることが必要である。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.196_1