脱分化脂肪細胞(DFAT) における血管新生効果の検討

治療的血管新生において,脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cell: DFAT) が血管内皮細胞にどのような作用を与えるかについては十分に解明されていない. 本研究では,green fluorescent protein (GFP) 標識DFAT またはGFP 標識脂肪組織由来幹細胞(adiposederived stem cell: ASC) を血管内皮細胞と共培養することにより,細胞間相互作用による血管内皮細胞の増殖能,管腔形成能の変化を比較検討した.さらに蛍光免疫染色やリアルタイムRT-PCR を用いて,DFAT が血管構成細胞であるペリサイトへの分化能について,...

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Published in日大医学雑誌 Vol. 74; no. 5; pp. 238 - 245
Main Authors 松本, 太郎, 萩倉, 一博, 渡邉, 拓史, 高橋, 昌里, 風間, 智彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大学医学会 01.10.2015
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ISSN0029-0424
1884-0779
DOI10.4264/numa.74.5_238

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Summary:治療的血管新生において,脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cell: DFAT) が血管内皮細胞にどのような作用を与えるかについては十分に解明されていない. 本研究では,green fluorescent protein (GFP) 標識DFAT またはGFP 標識脂肪組織由来幹細胞(adiposederived stem cell: ASC) を血管内皮細胞と共培養することにより,細胞間相互作用による血管内皮細胞の増殖能,管腔形成能の変化を比較検討した.さらに蛍光免疫染色やリアルタイムRT-PCR を用いて,DFAT が血管構成細胞であるペリサイトへの分化能について,ASC と比較して検討した.その結果,DFAT とASC はともに,血管内皮細胞の細胞増殖能,管腔形成能を促進することが明らかになった.また血管内皮細胞との共培養により,DFAT はペリサイト特異的マーカーであるNG2, PDGFR-β の発現が増強し,ASC と比較してペリサイトへの分化能が高い可能性が示唆された.これらの結果よりDFAT は治療的血管新生における有用な治療用細胞ソースとなりうることが示された.
ISSN:0029-0424
1884-0779
DOI:10.4264/numa.74.5_238