成人中・後期における「死に対する態度」の縦断的検討
成人中・後期における死に対する態度の加齢変化について,縦断的データを用いて検討することを目的とした。分析対象者は「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」の第1次・第3次・第5次・第7次調査(約4年間隔)に参加し,死に対する態度尺度に回答した3789名(40~91歳)であった。死に対する態度尺度は「死に対する恐怖」,「死後の生活の存在への信念(民俗宗教的な死後存在の信念)」,「生を全うさせる意志(自殺の否定,最後まで生きる意志)」,「人生に対して死が持つ意味(生との関連で死を意味づけ)」,「身体と精神の死(QOLから死を位置づけ)」の5下位尺度から成る。線形...
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Published in | 発達心理学研究 Vol. 27; no. 3; pp. 232 - 242 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本発達心理学会
2016
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Subjects | |
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ISSN | 0915-9029 2187-9346 |
DOI | 10.11201/jjdp.27.232 |
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Summary: | 成人中・後期における死に対する態度の加齢変化について,縦断的データを用いて検討することを目的とした。分析対象者は「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」の第1次・第3次・第5次・第7次調査(約4年間隔)に参加し,死に対する態度尺度に回答した3789名(40~91歳)であった。死に対する態度尺度は「死に対する恐怖」,「死後の生活の存在への信念(民俗宗教的な死後存在の信念)」,「生を全うさせる意志(自殺の否定,最後まで生きる意志)」,「人生に対して死が持つ意味(生との関連で死を意味づけ)」,「身体と精神の死(QOLから死を位置づけ)」の5下位尺度から成る。線形混合モデルによる解析を行った結果,「死に対する恐怖」は成人後期半ばまでは加齢に伴い低下し,それ以降は経年変化を示さないこと,「死後の生活の存在への信念」は加齢に伴い低下すること,「生を全うさせる意志」と「人生に対して死が持つ意味」は高齢であるほど高得点だが経年変化は示されないこと,「身体と精神の死」は高齢であるほど高得点だが,成人中期初頭でのみ上昇することが示唆された。また,各下位尺度の測定時期間相関値には,部分的に年代による差異があり,成人中・後期にかけて死に対する態度の各側面において,異なる加齢変化が生ずる可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 0915-9029 2187-9346 |
DOI: | 10.11201/jjdp.27.232 |