深部体温計の精度検証装置の開発

体温は熱中症の早期発見や脊髄損傷者の体調管理などにおいて、重要な生体情報の一つである。本研究ではこれまで、熱中症の予防や脊髄損傷者の体調管理を日常的に行うことを目的に、双熱流法を用いたウェアラブル型の深部体温計の開発を行ってきた。これまで深部体温計の精度検証を行うには、被験者にリファレンスとなる市販の深部体温計と開発した深部体温計を装着し、運動負荷や温熱負荷をかけ体温変化を生じさせることで、測定精度検証を行っていた。しかし、この方法は被験者を用いるため頻繁に実験を行うことが難しく、また任意の深部体温と外気温度で検証を行うことが難しいという問題がある。そこで本研究では、ヒートプレートと恒温恒湿器...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 258_2
Main Authors 吉村, 拓巳, 木下, 大輔, 田村, 俊世
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual61.258_2

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Summary:体温は熱中症の早期発見や脊髄損傷者の体調管理などにおいて、重要な生体情報の一つである。本研究ではこれまで、熱中症の予防や脊髄損傷者の体調管理を日常的に行うことを目的に、双熱流法を用いたウェアラブル型の深部体温計の開発を行ってきた。これまで深部体温計の精度検証を行うには、被験者にリファレンスとなる市販の深部体温計と開発した深部体温計を装着し、運動負荷や温熱負荷をかけ体温変化を生じさせることで、測定精度検証を行っていた。しかし、この方法は被験者を用いるため頻繁に実験を行うことが難しく、また任意の深部体温と外気温度で検証を行うことが難しいという問題がある。そこで本研究では、ヒートプレートと恒温恒湿器を用いた深部体温の精度検証装置の開発を行った。 深部体温計は頭部に装着し計測を行うため、精度検証装置も頭部を模擬した構造になっている。頭部内の深部体温を模擬するヒートプレートにサーミスタを装着し、頭部の骨や皮膚を模擬した石膏プレートを介して深部体温計のプローブを設置する構造となっている。開発した精度検証装置を用い、石膏プレートの厚みを変えた際の深部体温計の測定精度の影響を検証した。検証の結果、双熱流法を用いた計測方法の場合、石膏プレートの厚みにより測定精度が異なり、外気温度が低いほど、深部体温の推定値が低いことが分かった。今後は実際の頭部の熱伝導特性に近い石膏プレート厚みを検討する必要がある。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.258_2