ベッド上の体圧中心位置に基づく離床動作検知システムの開発

認知症患者に対する夜間の見回りは,徘徊やベッド転落の予防・早期発見に重要である.一方で,夜間に緊張感を保って患者を見回る必要があり,施設職員の精神的な負担は大きい.そのため,ベッドからの離床を検知するシステムが開発されている.しかし,離床後にアラートが作動するのでは後手に回るため,離床の危険性を離床前の早期に判断できる支援機器の開発が期待されている.  療養病棟の入院患者の起き上がりを分析した従来研究によると,離床に至る一連の動作は大別して2パターンあることが示唆されている.そこで本研究では,認知症患者を対象として,その2パターンの中に含まれる離床の危険性が高い動作を検知し,早期段階での離床予...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 214_2
Main Authors 前田, 伸二, 矢野, 賢一, 伊藤, 黎, 中濱, 拓己, 垣越, 康佑, 坂本, 良太, 中川, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual61.214_2

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Summary:認知症患者に対する夜間の見回りは,徘徊やベッド転落の予防・早期発見に重要である.一方で,夜間に緊張感を保って患者を見回る必要があり,施設職員の精神的な負担は大きい.そのため,ベッドからの離床を検知するシステムが開発されている.しかし,離床後にアラートが作動するのでは後手に回るため,離床の危険性を離床前の早期に判断できる支援機器の開発が期待されている.  療養病棟の入院患者の起き上がりを分析した従来研究によると,離床に至る一連の動作は大別して2パターンあることが示唆されている.そこで本研究では,認知症患者を対象として,その2パターンの中に含まれる離床の危険性が高い動作を検知し,早期段階での離床予測を可能とするシステムを開発することを目的とした.ベッドのマットレス下に8つの圧力センサを設置して体圧中心位置を測定するものとし,体圧中心が位置する範囲からベッド上における動作を判別する.人体の構造に即した筋骨格モデルと運動学に基づき,各動作時に体圧中心位置が取りうる範囲を考慮することで定式化を行った.これにより離床に至る過程での体圧中心位置の軌跡から,離床よりも前段階でアラートを出すことが可能となった.既存製品との比較実験を実施し,離床前に危険性を報知可能な点において提案離床予測システムの有効性を示した.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.214_2