腸管を温存し得た大網裂孔ヘルニアの2例

症例1は45歳の女性で,腹痛と嘔吐で救急搬送され,CTで内ヘルニアと診断した。緊急審査腹腔鏡で大網裂孔ヘルニアを認め,腹腔鏡下にヘルニア門を開放し腸管切除せずに終了した。術後4日目に退院した。症例2は41歳の女性で,腹痛と下痢で救急搬送された。初診時は腸炎と診断されたが,翌日のCTで内ヘルニアと診断し,緊急開腹手術で大網裂孔ヘルニアを認め,ヘルニア門を開放し腸管切除せずに終了した。術後9日目に退院した。大網裂孔ヘルニアは,手術時期を逸すると腸管壊死をきたし腸切除を要することがある。腸管壊死の有無には,発症からの日数,嵌入腸管の長さが関与していると考えられる。腸管壊死がなく腸管拡張が軽度の段階で...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 44; no. 4; pp. 621 - 624
Main Authors 岡﨑, 雅也, 小田, 竜也, 海江田, 和泉, 山田, 嵩宜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2024
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.44.621

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Summary:症例1は45歳の女性で,腹痛と嘔吐で救急搬送され,CTで内ヘルニアと診断した。緊急審査腹腔鏡で大網裂孔ヘルニアを認め,腹腔鏡下にヘルニア門を開放し腸管切除せずに終了した。術後4日目に退院した。症例2は41歳の女性で,腹痛と下痢で救急搬送された。初診時は腸炎と診断されたが,翌日のCTで内ヘルニアと診断し,緊急開腹手術で大網裂孔ヘルニアを認め,ヘルニア門を開放し腸管切除せずに終了した。術後9日目に退院した。大網裂孔ヘルニアは,手術時期を逸すると腸管壊死をきたし腸切除を要することがある。腸管壊死の有無には,発症からの日数,嵌入腸管の長さが関与していると考えられる。腸管壊死がなく腸管拡張が軽度の段階であれば,腹腔鏡下のヘルニア解除も可能であり術後早期回復が期待できる。大網裂孔ヘルニアは術前診断が困難な場合が多く,内ヘルニアや絞扼性イレウスと診断した時点で審査腹腔鏡手術も含めた緊急手術を検討すべきである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.44.621