変形性膝関節症における立ち上がり動作時の膝関節の力学的動態

【目的】近年,初期変形性膝関節症(膝OA)の軟骨厚の減少に矢状面の膝関節トルクの関与が報告された。そのため膝OA患者が立ち上がり動作時に矢状面において力源に主にどのトルク成分を用いているか,また,膝関節の力学的動態に対して股関節や足関節がどのように関係しているかを明らかにすることを目的とした。【方法】対象は膝OA患者4名,健常高齢者3名,課題動作は立ち上がり動作とした。逆動力学計算を用いて下肢3関節のネットトルク(NET),筋トルク(MUS),相互作用トルク(INT),重力トルク(GRA),椅子からの反力(CHAIR)を算出し,動作全体,相ごとの各トルクの寄与率(CI)を求めた。【結果】離殿~...

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Published in理学療法 - 臨床・研究・教育 Vol. 25; no. 1; pp. 57 - 61
Main Authors 金村, 尚彦, 久保田, 圭祐, 園尾, 萌香, 藤野, 努, 国分, 貴徳, 平田, 恵介, 名字, 名前, 塙, 大樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 埼玉県理学療法士会 2018
Subjects
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ISSN1880-893X
1880-8948
DOI10.11350/ptcse.25.57

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Summary:【目的】近年,初期変形性膝関節症(膝OA)の軟骨厚の減少に矢状面の膝関節トルクの関与が報告された。そのため膝OA患者が立ち上がり動作時に矢状面において力源に主にどのトルク成分を用いているか,また,膝関節の力学的動態に対して股関節や足関節がどのように関係しているかを明らかにすることを目的とした。【方法】対象は膝OA患者4名,健常高齢者3名,課題動作は立ち上がり動作とした。逆動力学計算を用いて下肢3関節のネットトルク(NET),筋トルク(MUS),相互作用トルク(INT),重力トルク(GRA),椅子からの反力(CHAIR)を算出し,動作全体,相ごとの各トルクの寄与率(CI)を求めた。【結果】離殿~足関節最大背屈相においてCIは膝関節MUSで有意に高く,膝関節INTでは有意差を認めなかった。またすべての関節においてNETは高齢者に比べて膝OAで低かった。【結論】膝OA患者は立ち上がり動作時の膝関節INT生成に股関節機能を利用できず,結果として膝関節の筋の負担が増大していること示唆された。
ISSN:1880-893X
1880-8948
DOI:10.11350/ptcse.25.57