Duetto SI stem 周囲骨における骨密度と応力値の算出

セメントレス固定法において,ステム周囲の骨密度の低下は,ゆるみを惹起することもあり問題視されている.この骨密度の低下はステムをインプラントしたことにより,生理的フィードバック機構が変調を来たし応力遮蔽を経てゆるみを呈すると推察されるが,その因果関係は明らかになっていない.そこで本研究においてはDuetto SI stem を対象とし,術後のステム周囲部における骨密度と応力の相関について明らかにすることを目的とした. 本学整形外科で施行された初回THA 患者についてDEXA を用いた骨密度測定を行い,並行して臨床と同等の時系列で動的有限要素法解析を骨子とした数値シミュレーションを行った.術後2...

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Published inバイオメカニズム学会誌 Vol. 35; no. 3; pp. 191 - 196
Main Authors 高平, 尚伸, 高相, 晶士, 馬渕, 清資, 森谷, 光俊, 山本, 豪明, 倉鍵, 侑一郎, 内田, 健太郎, 酒井, 利奈, 糸満, 盛憲, 内山, 勝文, 福島, 健介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published バイオメカニズム学会 2011
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ISSN0285-0885
DOI10.3951/sobim.35.191

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Summary:セメントレス固定法において,ステム周囲の骨密度の低下は,ゆるみを惹起することもあり問題視されている.この骨密度の低下はステムをインプラントしたことにより,生理的フィードバック機構が変調を来たし応力遮蔽を経てゆるみを呈すると推察されるが,その因果関係は明らかになっていない.そこで本研究においてはDuetto SI stem を対象とし,術後のステム周囲部における骨密度と応力の相関について明らかにすることを目的とした. 本学整形外科で施行された初回THA 患者についてDEXA を用いた骨密度測定を行い,並行して臨床と同等の時系列で動的有限要素法解析を骨子とした数値シミュレーションを行った.術後2 週,術後5 ヶ月における骨密度,フォンミーゼス応力,三軸応力について, Gruen 分類に従いzone 1 から7 における時系列変化を算出した. 骨密度とフォンミーゼス応力は横軸をGruen 分類とした場合,いずれも双方向の相関が得られた.骨密度の増加は骨にかかる応力の増加もひとつの因子であると推察した.Duetto SI stem の固定力は遠位で得られ,安定した固定性を有していることが示唆された.骨密度計測と有限要素解析はステム周囲骨の骨動態を早期から定量的に把握するうえで有用であった.
ISSN:0285-0885
DOI:10.3951/sobim.35.191