可聴域外超音波による骨導刺激が惹起するモルモットの聴性脳幹反応と蝸牛マイクロフォン電位

ヒトの可聴範囲は20kHz以下とされるが、骨を介して音が入力されると超音波を聴取できるが、その機構の詳細は不明とされてきた。今回我々は、蝸牛における超音波受容の可能性を検討するため、in vivoモルモットに対して電気生理学的計測を行った。はじめにの側頭骨に骨導刺激を行い、聴性脳幹反応(ABR)を計測した。その結果、モルモットの可聴域である40 kHz以下の刺激だけでなく、80 kHz以上の刺激でもABR波形が記録された。その閾値は、周波数が高くなるほど上昇した。次に、蝸牛マイクロフォン電位(CM)を計測した。CMとは、聴覚の一次受容細胞「有毛細胞」の興奮を反映する音刺激に同調する細胞外電位記...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 235_2
Main Authors 安部, 力, 森元, 伊織, 任, 書晃, 小川, 博史, 堀井, 和広, 長瀬, 典子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
Online AccessGet full text
ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual61.235_2

Cover

More Information
Summary:ヒトの可聴範囲は20kHz以下とされるが、骨を介して音が入力されると超音波を聴取できるが、その機構の詳細は不明とされてきた。今回我々は、蝸牛における超音波受容の可能性を検討するため、in vivoモルモットに対して電気生理学的計測を行った。はじめにの側頭骨に骨導刺激を行い、聴性脳幹反応(ABR)を計測した。その結果、モルモットの可聴域である40 kHz以下の刺激だけでなく、80 kHz以上の刺激でもABR波形が記録された。その閾値は、周波数が高くなるほど上昇した。次に、蝸牛マイクロフォン電位(CM)を計測した。CMとは、聴覚の一次受容細胞「有毛細胞」の興奮を反映する音刺激に同調する細胞外電位記録である。刺激波形は127 kHz 130 dB、持続時間が200 msecのtone burstを用いた。得られた細胞外電位変化に対して周波数解析を行うと、3つの周波数に信号のピークを認めた。それぞれの信号と刺激波形の関係を検討すると、202.85 kHzと245.85 kHzでは同期せず、刺激周波数と同じ127 kHzでのみ同期していた。すなわち、127 kHzの信号がCMと考えられ、超音波を受容する有毛細胞の存在が強く示唆された。刺激圧力を増加させると、CM振幅も増加したが、その入出力関係は「非線形性」を示した。また、無酸素負荷後の値との比較から、CMが好気性代謝に立脚して増幅されていることも確認された。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.235_2