経皮的エネルギー伝送システムから生じる高周波患者漏れ電流の測定 -測定方法の提案

補助人工心臓にワイヤレスで電力を送る方法に,経皮的エネルギー伝送システム(TETS)がある.TETSを患者に装着した場合,患者の人体を介して,大地に流れる電流が存在する.しかしながら,従来の医療機器規格(IEC 60601-1)に書かれている一般的な医療機器の患者漏れ電流の測定は,50/60Hzの漏れ電流を対象としており,TETSの場合の伝送周波数である400kHzとその高調波(3.1MHz程度)には適用できない.このため,TETSから漏れる患者漏れ電流の測定方法を検討した.導電性の板の上に,非導電性の机を置き,その机の上に試作したTETSを並べた.TETSの伝送周波数は400kHzとし,15...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual60; no. Abstract; p. 174_1
Main Authors 鎮西, 清行, 岡本, 英治, 小林, 信治, 巽, 英介, 西村, 隆, 藤原, 修, 中田, 和成, 柴, 建次, 増澤, 徹, 山崎, 健一, 西田, 正浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2022
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual60.174_1

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Summary:補助人工心臓にワイヤレスで電力を送る方法に,経皮的エネルギー伝送システム(TETS)がある.TETSを患者に装着した場合,患者の人体を介して,大地に流れる電流が存在する.しかしながら,従来の医療機器規格(IEC 60601-1)に書かれている一般的な医療機器の患者漏れ電流の測定は,50/60Hzの漏れ電流を対象としており,TETSの場合の伝送周波数である400kHzとその高調波(3.1MHz程度)には適用できない.このため,TETSから漏れる患者漏れ電流の測定方法を検討した.導電性の板の上に,非導電性の机を置き,その机の上に試作したTETSを並べた.TETSの伝送周波数は400kHzとし,15Wの電力を体内に植え込まれた補助人工心臓を模擬した抵抗に伝送した.生理食塩水を満たした袋を模擬人体組織とし,送電用・受電用コイル,体内回路を袋に密着させ,生理食塩水から200Ωの人体等価抵抗を通過して大地に流れる高周波電流を測定した.200Ωの両端の電位差をオシロスコープ(帯域200 MHz)で測定し,電流値に換算した.その結果,患者漏れ電流は8.1 mA (rms)であり,IEC 60601-1の規制値である10mA以下であることを確認した.以上より,TETSの高周波患者漏れ電流の測定方法を提案することができた.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual60.174_1