生体腎移植における動脈形成と腎予後の関係

緒言:複数動脈の腎移植は単一動脈の場合と比較すると,合併症や移植腎機能のリスクが高まる可能性がある.方法:当院で施行した生体腎移植166例のうち,複数動脈であったが,分枝を結紮した12例を除く154例を対象として後ろ向きコホート研究を実施した.患者を動脈形成群と単純吻合群に分け,腎機能,術中動脈再吻合,移植腎生着率,患者生存率を比較した.結果:動脈形成群は37例,単純吻合群は117例であった.腎機能の比較では,退院時s-Crは動脈形成群で1.68±0.93mg/dL,単純吻合群で1.36±0.40mg/dLであった(p=0.157).1年後s-Crは動脈形成群で1.52±0.66mg/dL,単...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 3; pp. 359 - 364
Main Authors 中村, 有紀, 横山, 卓剛, 井上, 翔太, 石井, 保夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.359

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Summary:緒言:複数動脈の腎移植は単一動脈の場合と比較すると,合併症や移植腎機能のリスクが高まる可能性がある.方法:当院で施行した生体腎移植166例のうち,複数動脈であったが,分枝を結紮した12例を除く154例を対象として後ろ向きコホート研究を実施した.患者を動脈形成群と単純吻合群に分け,腎機能,術中動脈再吻合,移植腎生着率,患者生存率を比較した.結果:動脈形成群は37例,単純吻合群は117例であった.腎機能の比較では,退院時s-Crは動脈形成群で1.68±0.93mg/dL,単純吻合群で1.36±0.40mg/dLであった(p=0.157).1年後s-Crは動脈形成群で1.52±0.66mg/dL,単純吻合群で1.29±0.38mg/dLであった(p=0.197).術中動脈再吻合はそれぞれ3例,6例であった(p=0.449).1年後移植腎生着率はそれぞれ97.3%,98.3%であった(p=0.175).両群共に1年後患者生存率は100%であった.考察・結論:複数動脈の生体腎移植における動脈形成は安全かつ有効であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.359