ブルガダ症候群での心室細動誘発に対するキニジン静脈内投与による抑制効果

症候性ブルガダ症候群 (BS) に対する突然死の予防に関しては現時点では植え込み型除細動器 (ICD) が唯一の有効な治療法とされている.しかし近年 BS のICD 頻回作動例においてキニジンの内服により心室細動 (VF) 発作が抑制されたなど,キニジンの有用性がいくつか報告されている.そこで我々は BS の右室流出路心筋の有効不応期,活動電位持続時間およびその回復特性に対するキニジン静脈内投与の効果について検討を行った.対象は男性の無症候性ブルガダ症候群 5 症例.ST 上昇のタイプは Brugada-type-1 が 1 症例,type-2 が 3 症例,type-3 が 1 症例であった...

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Published in日大医学雑誌 Vol. 67; no. 5; pp. 299 - 303
Main Authors 奥村, 恭男, 平山, 篤志, 渡辺, 一郎, 小船, 雅義, 大久保, 公恵, 芦野, 園子, 中井, 俊子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大学医学会 01.10.2008
Subjects
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ISSN0029-0424
1884-0779
DOI10.4264/numa.67.299

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Summary:症候性ブルガダ症候群 (BS) に対する突然死の予防に関しては現時点では植え込み型除細動器 (ICD) が唯一の有効な治療法とされている.しかし近年 BS のICD 頻回作動例においてキニジンの内服により心室細動 (VF) 発作が抑制されたなど,キニジンの有用性がいくつか報告されている.そこで我々は BS の右室流出路心筋の有効不応期,活動電位持続時間およびその回復特性に対するキニジン静脈内投与の効果について検討を行った.対象は男性の無症候性ブルガダ症候群 5 症例.ST 上昇のタイプは Brugada-type-1 が 1 症例,type-2 が 3 症例,type-3 が 1 症例であった.電気生理学的検査ではコントロール時,全例で VF が誘発された.キニジン投与後 4 例で VF が誘発不能となった.その理由として,キニジン投与後右室流出路の有効不応期は延長し,また活動電位持続時間の回復曲線の最大の傾きが減少したことが VF 発生を抑制したことに関連していると考えられた.
ISSN:0029-0424
1884-0779
DOI:10.4264/numa.67.299