小児急性リンパ性白血病・悪性リンパ腫経験者の潜在性内分泌合併症に関する研究

1970 年から 2007 年に当院で治療を行い,現在寛解状態にある 15 歳以上の小児の急性リンパ性白血病,悪性リンパ腫経験者のうち,現在まで内分泌合併症を指摘されず,研究の同意が得られた 22 例に対して,潜在性の内分泌異常が存在するかを調べるために内分泌負荷試験を行った.その結果,潜在性の内分泌異常と診断されたのは 6 例 (27.3%) であった.内訳は成長ホルモン分泌低反応が 3 例,潜在性の原発性甲状腺機能低下が 2 例,潜在性の中枢性甲状腺機能低下が 1 例であり,性腺や副腎機能に異常は認められなかった.潜在性の内分泌異常が認められた症例と認められなかった症例の年齢,治療開始年齢...

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Published in日大医学雑誌 Vol. 72; no. 5; pp. 279 - 286
Main Authors 七野, 浩之, 平井, 麻衣子, 稲毛, 康司, 陳, 基明, 麦島, 秀雄, 浦上, 達彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大学医学会 01.10.2013
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ISSN0029-0424
1884-0779
DOI10.4264/numa.72.279

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Summary:1970 年から 2007 年に当院で治療を行い,現在寛解状態にある 15 歳以上の小児の急性リンパ性白血病,悪性リンパ腫経験者のうち,現在まで内分泌合併症を指摘されず,研究の同意が得られた 22 例に対して,潜在性の内分泌異常が存在するかを調べるために内分泌負荷試験を行った.その結果,潜在性の内分泌異常と診断されたのは 6 例 (27.3%) であった.内訳は成長ホルモン分泌低反応が 3 例,潜在性の原発性甲状腺機能低下が 2 例,潜在性の中枢性甲状腺機能低下が 1 例であり,性腺や副腎機能に異常は認められなかった.潜在性の内分泌異常が認められた症例と認められなかった症例の年齢,治療開始年齢に有意差は認められなかった (各々 p =0.64,0.84).潜在性の内分泌異常の存在を知ることは,小児が ん内分泌晩期合併症の早期発見と早期治療に役立ち,小児がん経験者の Quality of life (QOL) の改善につながると思われた.
ISSN:0029-0424
1884-0779
DOI:10.4264/numa.72.279