マウス大腿骨骨折モデルにおける 脱分化脂肪細胞 (DFAT) 移植による骨形成促進効果

四肢の骨折は治療法や手術方法が確立されているが,重度の外傷,広範囲な骨欠損では,適切な治療や手術を施行しても,骨の癒合が不十分となることが多い.近年,整形外科領域においても,幹細胞などを利用した再生医療が期待されている.脱分化脂肪細胞 (dedifferentiated fat cell: DFAT) は成熟脂肪細胞に由来する間葉系幹細胞に類似した多能性細胞である.本研究は,マウス大腿骨骨折モデルに対し,DFAT をペプチドハイドロゲルと共に骨折部位に移植し,骨形成促進効果を検討した.その結果,DFAT 移植により仮骨形成が促進され,骨折部周囲の骨量の増加が誘導されることが明らかとなった.DF...

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Published in日大医学雑誌 Vol. 79; no. 5; pp. 265 - 273
Main Authors 山田, 知裕, 徳橋, 泰明, 松本, 太郎, 加野, 浩一郎, 風間, 智彦, 新井, 嘉則, 中西, 一義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大学医学会 01.10.2020
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ISSN0029-0424
1884-0779
DOI10.4264/numa.79.5_265

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Summary:四肢の骨折は治療法や手術方法が確立されているが,重度の外傷,広範囲な骨欠損では,適切な治療や手術を施行しても,骨の癒合が不十分となることが多い.近年,整形外科領域においても,幹細胞などを利用した再生医療が期待されている.脱分化脂肪細胞 (dedifferentiated fat cell: DFAT) は成熟脂肪細胞に由来する間葉系幹細胞に類似した多能性細胞である.本研究は,マウス大腿骨骨折モデルに対し,DFAT をペプチドハイドロゲルと共に骨折部位に移植し,骨形成促進効果を検討した.その結果,DFAT 移植により仮骨形成が促進され,骨折部周囲の骨量の増加が誘導されることが明らかとなった.DFAT は,難治性骨折に対する治療用細胞源として有望であることが示された.
ISSN:0029-0424
1884-0779
DOI:10.4264/numa.79.5_265