モーションキャプチャシステムを用いた咀嚼時の舌運動と顎運動の同時解析
舌は咀嚼・嚥下・構音において重要な役割を担っているが,口腔内にあり直接その運動を観察できないため,現在まで咀嚼時舌運動の詳細な解析はほとんど行われていない.本研究の目的は,舌運動モーションキャプチャシステム(電磁アーティキュログラフ,以下EMAとする)により,咀嚼時の舌運動と顎運動の関係を明らかにすることである.健常若年女性2名のグミゼリー咀嚼時の舌運動と顎運動をEMAにて記録した.EMAのマーカーは舌の4か所(前方,後方,右側,左側)および切歯点,頭部動揺補正のために左右頬骨弓外側部と鼻骨正中部に貼付した.咀嚼開始5-21秒を分析対象とし,開口開始からの1咀嚼サイクルを基準として顎運動・舌運...
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Published in | Transactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual60; no. Abstract; p. 251_2 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2022
Japanese Society for Medical and Biological Engineering |
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual60.251_2 |
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Summary: | 舌は咀嚼・嚥下・構音において重要な役割を担っているが,口腔内にあり直接その運動を観察できないため,現在まで咀嚼時舌運動の詳細な解析はほとんど行われていない.本研究の目的は,舌運動モーションキャプチャシステム(電磁アーティキュログラフ,以下EMAとする)により,咀嚼時の舌運動と顎運動の関係を明らかにすることである.健常若年女性2名のグミゼリー咀嚼時の舌運動と顎運動をEMAにて記録した.EMAのマーカーは舌の4か所(前方,後方,右側,左側)および切歯点,頭部動揺補正のために左右頬骨弓外側部と鼻骨正中部に貼付した.咀嚼開始5-21秒を分析対象とし,開口開始からの1咀嚼サイクルを基準として顎運動・舌運動波形の正規化を行い,前頭断・矢状断に分けて波形分析を行った.その結果,前頭断波形では,舌前方部が最も大きく咀嚼側へ動いていた.また,舌は最大開口後,閉口相の間に咀嚼側へ移動し,咬合相の間に戻っていた.舌後方部の垂直的な動きは,顎運動よりも小さかった.矢状断波形では,開口時には下顎は後方に動いたが,舌は前方へも動いていた.特に舌後方部のマーカーは大きく前方へ動いていた.舌は,開口開始後,最大開口までの間に最前方位をとっており,閉口後に最後方位をとっていた.以上より,グミゼリー咀嚼時,舌は顎運動と協調して動き,食塊を歯列上に乗せ,さらに咀嚼されてばらけた食塊を再度歯列上に乗せる動きをしていると考えられた. |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual60.251_2 |