医用超音波イメージングのための平均音速分布推定に関するシミュレーションを用いた基礎的検討

医用超音波画像の構築には一般的に遅延和ビームフォーミング(DAS)法が用いられる.DAS法では,各超音波素子から散乱点,また散乱点から素子までの超音波伝搬時間をそれぞれの距離と生体縦波音速(以下,音速とする)を用いて計算し,得られた伝搬時間を用いて,エコー信号の位相補正が行われる.この計算において,音速を一定と仮定しているが,実際の生体組織の音速分布は不均一であるため,仮定した値と実際の値との間に誤差が生じ,画像構築の精度は低下する.そこで,我々の研究グループでは音速推定手法を提案し,推定した音速を画像構築に用いることで空間分解能が向上したことを報告した.先行研究では,音速が既知である生体模擬...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 312_1
Main Authors 大村, 眞朗, 長岡, 亮, 長谷川, 英之, 飯田, 美紅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
Online AccessGet full text
ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual61.312_1

Cover

More Information
Summary:医用超音波画像の構築には一般的に遅延和ビームフォーミング(DAS)法が用いられる.DAS法では,各超音波素子から散乱点,また散乱点から素子までの超音波伝搬時間をそれぞれの距離と生体縦波音速(以下,音速とする)を用いて計算し,得られた伝搬時間を用いて,エコー信号の位相補正が行われる.この計算において,音速を一定と仮定しているが,実際の生体組織の音速分布は不均一であるため,仮定した値と実際の値との間に誤差が生じ,画像構築の精度は低下する.そこで,我々の研究グループでは音速推定手法を提案し,推定した音速を画像構築に用いることで空間分解能が向上したことを報告した.先行研究では,音速が既知である生体模擬ファントムの計測データを用いているが,実際の音速分布が不明であるという問題が存在した.本研究では,音速分布を設定可能なk-Waveソフトウェア(B. E. Treeby, et al., Proc. IEEE IUS, 146-149, 2014)を用いたシミュレーション実験を実施した.このシミュレーション実験では,標準偏差の異なる音速分布を設定したファントムを用いた.この際に,取得したデータに対して音速推定手法を適用することで音速分布を算出した.そして,推定した音速分布を用いて構築した画像の空間分解能の評価を行った.さらに,受信信号のノイズの大きさが音速推定手法の精度にどのような影響があるのかに関しても評価を行った.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.312_1