局所適応的平滑化フィルタのX線投影像への適用
現在の医療においてX線撮影は不可欠な診断手段となっている。撮像メディアもフラットパネル検出器(FPD)の導入によりディジタル化し、さらなる 被曝の削減が進められている。照射量を減らすことで被験者の被曝を減らすことができるが、量子雑音が増加する。そうしたX線投影データに対して、杉浦はX線CTデータのサイノグラムのポアソン性を利用した局所的平滑化の方法(以下ABSP: Adaptive Bilateral Smoothing on Projection data法)を提案している。本研究ではABSP法をFPD等で撮影された通常のX線投影像に応用し、画質の向上を行う方法を提案する。X線投影データにお...
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Published in | Transactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 186_2 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering |
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual61.186_2 |
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Summary: | 現在の医療においてX線撮影は不可欠な診断手段となっている。撮像メディアもフラットパネル検出器(FPD)の導入によりディジタル化し、さらなる 被曝の削減が進められている。照射量を減らすことで被験者の被曝を減らすことができるが、量子雑音が増加する。そうしたX線投影データに対して、杉浦はX線CTデータのサイノグラムのポアソン性を利用した局所的平滑化の方法(以下ABSP: Adaptive Bilateral Smoothing on Projection data法)を提案している。本研究ではABSP法をFPD等で撮影された通常のX線投影像に応用し、画質の向上を行う方法を提案する。X線投影データにおいては、到来するX線光子の多い部分の変動係数は小さく、少ない部分では変動係数が大きい。そこで、ABSP法では、画像中の変動係数の変化が平坦となるように、光子数の多い場所ではバイラテラルフィルタの平滑化スパンを小さく、光子数の少ない場所では平滑化スパンを大きく取るように局所的に変化させる。入力画像毎にこの局所的スパンが収束するまで反復し、その局所的スパンで量子雑音を平滑化する。評価実験では、人体頭部ファントムをX線照射量の多い場合と少ない場合で、FPDにより撮影した。予め輝度方向、及び平滑化のパラメータの最適化を行った上で、照射量の少ないデータに提案法を適用し、照射量の多い画像と相関係数により評価を行った。その結果、提案法適用前は0.818であった相関係数が提案法適用後0.969となり、画質の向上が確認できた。 |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual61.186_2 |